出版社内容情報
人間だれもが「名前」をもつ。しかし,「名前」に関する常識の多くは,決して疑問の余地のないものではない。ましてや,その背後にある権力作用は,ほとんど意識されることがない。本書は,分野をこえた横断的な思考によって「名前」の根源に迫る試みであり,現代思想の重要テーマに対して,これまで死角だった観点から発言する,期待の新鋭のデビュー作である。
内容説明
名前―この、あまりにも近くて、あまりにも深遠なもの。フーコー、レヴィ=ストロースを背景に、名前の裏にひそむ権力作用に鋭く迫る。柄谷行人の「固有名」論も痛烈に批判。
目次
第1部 裸の固有名詞(微分化と反復―とりあえずの類型;記号としての個人名―反記号論的考察;微分のなかの反復、反復のなかの微分;人称代名詞と個人名)
第2部 今日の固有名(現代思想における固有名論;単独性の論理学は可能か?)
第3部 命名の基本構造(名づけとインセスト・タブー;命名と「自己」;「自己」の変換、分類へ向かって;ふたたび見出されたレヴィ=ストロース)