J.ボードリヤール×吉本隆明 世紀末を語る―あるいは消費社会の行方について

  • ポイントキャンペーン

J.ボードリヤール×吉本隆明 世紀末を語る―あるいは消費社会の行方について

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 190p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784314007085
  • NDC分類 304
  • Cコード C0030

出版社内容情報

世紀末の〈現在〉はどういう時代であり,どこへ行こうとしているのか。
今日,重要な思想的・政治的課題とはなにか。
ユートピア喪失の現在における知識人の役割とは? 
フランスと日本をそれぞれ代表する,この歴史的ともいえる二人の思想家の出会いの全記録。
ポスト冷戦の世界認識から消費資本主義社会の〈死〉の問題まで,熱い議論をたたかわす。

*******************

吉本隆明氏が提起した「消費者のリコール権」の問題をめぐって二人の見解は一致を見ることはなかったし、
ボードリヤール氏の「起源の不在」めぐる日本論に吉本氏が納得することもなかった。
しかし、その場かぎりのあいまいな同意をけっして求めようとしない二人の思想的誠実さと、

世紀末の過剰消費社会が陥ったカオス的状況の一歩先を見すえようとする真剣な態度は、

すくなくとも私にとって感動的なものだったし、
それは現場にいあわせた人びとの多くに共有された感想だったのではなかっただろうか。

*******************

世紀末のカウント・ダウン (ボードリヤール講演)
   カウント・ダウン
       終末の幻想の彼方へ
       現実の過剰とユートピアの喪失
       欲望の充足と現実世界からの追放
       アクティング・アウト
       「歴史の終わり」という幻想
       <悪>の透明化
       ユートピアとイデオロギーの不在
       亡霊化した現実
       <他者性>の喪失
       人工的な<他者性>の生産

   完全犯罪
       他者をもたない主体
       パタフィジック的世界

消費が問いかけるもの (吉本隆明講演)
       消費資本主義社会とは
       潜在的な権力は大衆の手に
       リコール権を明文化する
       レーニンができなかったこと
       憲法第九条
       日本社会の特徴
       「死」にいたる三つの条件
       「死後」の社会をイメージする
       消費がいまの社会を解く鍵
       好景気と不況を測るものさし
       親鸞の「死」の見方
       「死」の場所から見えるもの

対論 (ボードリヤール×吉本隆明)
       消費社会の<死>と「死後の世界」
       経済的リコール権の行使
       日本の<特異性>をめぐって
       会場からの質問に応えて

対論(続き) (ボードリヤール×吉本隆明)
       ポスト冷戦の世界認識
       イスラム原理主義をめぐって
       消費者の抵抗
       ユートピアの喪失と知識人の役割
       過剰の時代の倫理と理念
       雑談風に


ヴァーチャルなイリュージョン または世界の自動記述(ボードリヤール講演)
       TV番組化した生活
       「リアル・タイムで生きなさい」
       レディ・メイドの現実
       インターフェイスの中の世界
       世界の加速された終わり
       自動化された世界の夢
       人間の消滅の危機
       世界の自動記述の種類
       思考という幻想の消去
       「完全犯罪」を超えて
       幻想の終わり
       会場からの質問に応えて

顔のないシステム、顔のないテロル (ボードリヤール)
   TVの画面が現実を隠す
       端役にすぎぬ政治家
       冷静な被災者に注目
       破局から何を学ぶか

   システムの終末へのカウント・ダウン
       カオス的混乱の中から
       普遍的なものに対立
       完成への意志に抵抗

   顔のないシステム、顔のないテロル (書き下ろし)
       臨界状態に達した大衆社会
       大震災と毒ガス事件のあいだ

あとがき(塚原 史)

内容説明

フランスの社会学者にして著名な思想家であるジャン・ボードリヤールの来日を記念して、日本を代表する思想家・吉本隆明との講演会「世紀末を語る」が開催された。対論は、世紀末の現在をどうみるか、消費過剰の社会は今後どうなっていくのか、今日における重要な思想的・政治的課題とはなにか、ユートピア喪失の現在における知識人の役割など、幅広いテーマをめぐってたたかわされた。本書は、この歴史的ともいえる二人の出会いの全記録を中谷に、ボードリヤールの訪日のその他の発言を収録したものである。

目次

世紀末を語る―あるいは消費社会の行方について(ボードリヤール×吉本隆明)
ヴァーチャルなイリュージョン(ボードリヤール講演)
顔のないシステム、顔のないテロル(ボードリヤール)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

令和の殉教者

2
消費社会の展望について、90年代に巨人2人が語ったもの。吉本は選択消費(生活必需品以外の消費)が大きくなっており、これを大衆が一斉にやめると国家にとって大打撃なのだから、もう経済的な主権は国ではなく大衆の側にある。これをリコール権として発動できるようにしよう、というようなよくわからない議論を展開している。一方、ボードリヤールは近代の先鋭化の結果として社会が閉じてしまって、未知との遭遇のない完了してしまった現実を、歴史性を欠いて消費し続ける社会システムを問題化していて、こっちの方が面白そうだと思った。2021/11/27

Bevel

1
消費資本主義社会において、国民は政府に対する直接リコール権を持つ。という吉本の一点突破の論に比べると、ボードリヤールの語る、価値観が消滅した世界で、潜在的なメディアから浸み出してくるスペクタクルを生きる人々というイメージは今でも通用するものだと思う。ただ自分は、メディアや神話といったものを、潜在性という言葉に全て投げ入れてしまう前に、潜在性がどのようにして形を変えるか、そして影響を受けるかということを考えたいなと思った。2009/11/17

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/130645
  • ご注意事項