出版社内容情報
言語に対する認知科学的アプローチを確立し、言語学の新たな主流の旗手となったレイコフが、文学理論家ターナーとともに実際の詩作品の分析に向かう。シェイクスピアからエリオット、聖書まで、隠喩構造を鮮かに解明。
内容説明
シェイクスピアの劇作やソネットをはじめ、ダンテ、ミルトン、キーツ、エリオット、また聖書の言葉やサンスクリット恋愛詩、日常的な諺まで、現代言語学理論の最先端である認知言語学によって、それぞれの隠喩の構造を解明する。
目次
1 生・死・時
2詩的隠喩の力
3 隠喩構造の詳細―一篇の詩をもとに
4 存在の大連鎖
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
8
数学の記号や概念ほど抽象化されない詩の隠喩は、時空のような概念を人間身体や行為から写像する基本的隠喩の宝庫である(人生は旅である、知ることは見ること等)。写像されるのは「旅」や「見る」に含まれる根源領域(旅なら旅人、出発点、終点等の構造的要素)である。本書は古今の詩から隠喩の果たす基本的機能を取り出し、人間以外の生物や物と「存在の大連鎖」を作り出す詩の隠喩的機能を検討する。一方、隠喩に写像される要素選択には動物は本能、物は機能、人は人格等のような優先順位があり、その偏向を作り出す倫理や道徳の尺度にも迫る。2021/12/20
こたろう
2
「人生は旅である」のような表現(隠喩)について説明した本。詩は英語のものを原文と日本語に翻訳したものが記載されている。隠喩という表現は、普段何気なく使用しているようだが、それらを理解しようとするのは、とても大変(多くの意味・解釈が可能)ということがわかる。 また、隠喩も慣例的に使用されるようになると、それはもはや隠喩ではなく、死喩ということも知った。 「ナイフは自分の柄だけは削れない(knife can’t whittle its own handle)」という意味を知りたい人は、読んでみるといいかも。2019/08/30
rhetorico
0
詩人が概念メタファーをまじめに取り扱うとこうなるらしい。以降、物別れになったらしいが。