出版社内容情報
森繁 久彌[モリシゲ ヒサヤ]
著・文・その他
内容説明
1981年8月、向田邦子、飛行機事故にて死去(享年五十一)。衝撃、悲嘆、慟哭から、時を経て思い出話へ。遠藤周作、久世光彦、倉本聰、黒柳徹子、沢木耕太郎、山口瞳、山田太一ほか、24人による向田邦子に捧げるエッセイアンソロジー。
目次
寂しいときに、君は舞う癖があった(森繁久彌)
向田さん界隈(倉本聰)
雁の別れ(久世光彦)
木槿の花(抄)(山口瞳)
三角波(風間完)
向田邦子を読む 読書日記特別版(江國滋)
名人(山本夏彦)
向田邦子さんのこと―『思い出トランプ』を読む(水上勉)
心に残るエッセイ(向田和子)
意地悪な目(抄)(車谷長吉)〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
39
向田邦子にゆかりのある人々の、彼女に宛てたエッセイを収録した『親愛なる向田邦子さま』。事故直後に書かれたものもあれば、没後何年も経ってからのもの、そして生前に書かれたものもある。巻頭には向田の才能を早くから見抜いていた森繁久彌のエッセイが配置され「歴史モノの大作を書く作家ではなくて、人間がポロポロ落としてゆくモノを書く、云うなれば世話モノの大家である」と称していて、「人間がポロポロ落としてゆくモノ」という表現が森繁らしく、また向田の作品を的確に捉えた表現だ。(つづく)2022/10/11
真琴
9
向田邦子さんの友人や仕事仲間、ご家族など26人が、彼女との思い出を綴ったエッセイ。2022/10/12
樽
7
若い頃は、おっさんが喜ぶような作家だと思って、向田邦子が好きだと言うのは少し恥ずかしかった。自身が彼女が逝った歳になり、青くてアホな若い頃の自分にダメ出ししたい気分。好きに恥ずかしいもクソもないわ!好きです!2024/03/30
hitotak
7
向田邦子さんへの追悼文、回想エッセイをまとめた一冊。まだ亡くなって間もない頃に書かれた文章も多く掲載されている。次々と傑作を発表し、脚本家としての絶頂期に飛行機事故に遭遇するという非情な運命に、筆者たちの喪失感が切々とつづられている。死の前年には小説家デビューし、山本夏彦に「突然あらわれてほとんど名人」と評された才能への驚きとともに、向田さん自身の魅力的な人柄も皆が語っている。倉本總、山田太一といった同業の脚本家たちの文章は特に印象に残った。2023/04/02
ちい
5
追悼文が、そうそうたる面々。普通、著名人が亡くなっても、これだけの方が追悼文を書くだろうか。まして、それが1冊の本になるなんて。そしてその中身は、「自分が1番彼女を知っている」「他の人は知らない、私だけが知ってる彼女はこうだ」と競い合っているよう。彼女の姿が立体的になったような、かえって掴みどころがなくなったような。でも、魅力的な人だったのだということは、伝わってくる。2023/06/16