内容説明
映画『きょうのできごと』の原作者が贈る感動の一冊!人を思う気持ちはいつだって“距離”を超える。
著者等紹介
柴崎友香[シバサキトモカ]
1973年、大阪に生まれる。2000年のデビュー作『きょうのできごと』が行定勲監督で映画化され話題となる
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マサキチ黒
9
柴崎友香さん初よみ。すごい不安な文章を書く人だ。崩壊の一歩手前で、せき止められているダムのようだ。かなり好ましいのだが。。。私には向いていないのかも。機会があればもう一冊(泣)。2021/10/26
訃報
9
何でもない瞬間に宿っている特別さを描く奇跡。この小説では実際に超常的な奇跡も起こるのだけど、そっちじゃなくて、日常の細かな出来事、動作、世界の感触、手触り、心の動き、一つ一つが奇跡なんだと思わされて、それが違和感なく超常的な奇跡と繋がっているような……だから、大きな奇跡と小さな奇跡の間に、価値の大小の差はないように思える。思い起こせば、自分の人生にもそんな奇跡はたくさんあったし、あるし、あり続けていく。テーマは距離、動いていないと思っても動き続けている。バンプの銀河鉄道の歌詞と同じことを言ってる。2018/06/11
sashawakakasu
8
ショートカットをはじめ、遠い距離という漠然としたテーマを中心に淡々と話が進んでいく。でもなんだか読んでいて心地いい。夏が来て、どこか遠くに行ってみてもいいかもしれないと思った。なかちゃんが度々登場、何を意味するのかは謎。でもなかちゃんと写真旅に出てみたい。アンセル・アダムズの風景写真をググった。2020/06/12
ぽむはづ。
7
距離のある二人。時間との駆け引き。人の不在に会えない悲しみと、宙に浮かんだような優しさが混じる。「やさしさ」が一番好きだな。"同じ場所にいるだけでなにも言わなくてもわかることが、電話の向こうとこっちで別々の景色を見ながらいくらしゃべってもきっと伝わらないって、決定的にわかり始めていた。だけど、そのことを、電話をかけて、確かめたかった。""だけど、そこは前とは違う場所で、さっきの駅のホームで手を振って別れた人は、探してもそこにはいない。"2021/03/18
星落秋風五丈原
7
遠くにいる人を好きなのはとてもつらい。でも、離れた場所や時間でも、会いたいと思えば会える−。「きょうのできごと」で話題の著者が、遠く離れて恋する男女のせつない思いを描く。 「ショートカット」「やさしさ」「パーティー」「ポラロイド」の4編とも、遠距離恋愛のカップルがたくさんでてきます。2007/02/13