感想・レビュー
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ゆいまある
80
1944年。激しくなってきた戦火から逃れる為、8歳だった作者は家族共々当時住んでいたパラオから日本に帰国する。米軍の空襲を受け、魚雷だらけの海を2ヶ月半かけて命からがら航海。作者にその時の正確な記憶などあろう筈もなく、両親の日記を元に書かれた小説。日本の敗戦が濃厚になっていることや、戦争に反対する台詞が所々見られるが、当時本当にこんなことを人前で言えたのかは謎。家族と離れて長い軍人が民間人の赤ん坊を抱っこしたがる場面は胸が詰まる。文章はこなれてないしラストシーンも非常に謎だが、貴重な記録の一つではある。2020/10/01