文春文庫<br> ある異常体験者の偏見

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文春文庫
ある異常体験者の偏見

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  • サイズ 文庫判/ページ数 315p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784167306076
  • NDC分類 304

出版社内容情報

戦前戦後、日本人は一貫して“意見の多様性の欠如”という軌道を走っていると説く著者が、そこからの脱却の道を追及する警世の書

内容説明

「強大な武器を持っていた日本がなぜ中国に敗れたのか。それは偶然に負けたのではなく、負けるべくして負けたのである…」この発言にショックを覚えた著者が展開する一大論争。みずからの異常体験をもとに論理術のかぎりを尽して、日本人を条理に合う人間と合わない人間に峻別すべきことを緻密に証明してみせてくれる。文芸春秋読者賞受賞。

目次

ある異常体験者の偏見
軍隊語で語る平和論
中国兵は強かった
アントニーの詐術
悪魔(サタン)の論理
聖トマスの不信
アパリの地獄船
鉄梯子と自動小銃
マッカーサーの戦争観
洗脳された日本原住民
横井さんと戦後神話
一億人の偏見

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

シュラフ

22
冷静になってみれば分かること。連合艦隊の燃料備蓄が1年半しかもたないなら、1年半後には日本は敗けるというのは確定的。対米戦争は敗けるべくして敗けた。それでも対米開戦に踏み切ったのは精神力という不確定要素を盛り込んだから。「日本的思考は常に「可能か・不可能か」の探究と「是か・非か」という議論とが、区別できなくなるということであった。」驚くなかれ、こうした日本的思考は現代にもまだはびこっていて、日本人には再び戦争を選択してしまう思考図式の危険があるという。冷厳な現実から目をそむけることこそ反知性主義者である。2018/10/07

seichan

4
イザヤ・ベンダサンとして名を馳せた山本七平の本。いまでは荒唐無稽と周知されている本田勝一の百人斬りレポをめぐっての論争から、日本軍の実態や戦前戦後の曲学阿世の徒の話などが展開する。特に「命令はしないが忖度させる」という日本語の特質の悪用、事実と理想を混交させて異論を圧殺する論壇、などなど、この本で指摘される日本の悪癖は今日でもまるで変っていない。というか、この人や小室直樹はもっと読まれるべき。2017/04/04

Kawarano

2
編集が有する強大な力を改めて意識させられる。事実を何とかして捉えようとする、著者の誠実な姿勢が見え、好感を持った。気づくと沢山のドッグイヤーがついていた。再読予定。2012/04/10

love_child_kyoto

2
日本の戦中・戦後史に目を開かせられる本。2010/05/26

kota

1
異常体験と言うのは、著者が大東亜戦争で経験した人間の極限状態のこと。人は処刑寸前、戦死寸前にどのような状態に陥るのか。著者は言う。何も判断することはできない、ただ目に入ったものが脳髄に焼きつく。そのとき人は気絶することはなく、ただ視界がクリアになり、あらゆる映像が鮮明に見えると。極端な飢餓状態のとき人はどのような行動をするか。著者は言う。あらゆる思考が停止し、ただ食い物に手が動くと。兵士でもあり評論家でもあった著者。七平節が随所で炸裂。難しい内容だけど、リアルな戦争経験談を知れたのは良かった。2019/05/22

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