出版社内容情報
動乱の世には眼もくれず、佳人の面影をひたすら託した自作の玉器を、ひとすじに追い求める工芸師の三十余年にわたる執念を描いた直木賞受賞作はじめ秀作五篇収録
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
91
直木賞】「年輪のない木」深田 祐介の直木賞作品「炎熱商人」と同じくフィリピンからの材木の買い付け。ラワン。ラワンに似ているが硬いクルイン。2つの木と物語の展開はいかに。「青玉獅子香炉」1920年工芸品を扱う潤古堂。玉を作る職人王福生。息子の嫁の素英。弟子の李同源。元上司の荘念偉。 玉をめぐる人間模様。 2014/07/17
大阪魂
42
陳舜臣さんの直木賞作品「青玉獅子香炉」含む5編の短編集!どれもミステリー仕立てなんばっかし!直木賞のは清滅亡後に清の財宝が台湾の故宮博物館に移されるまでの壮大な史実と玉を加工する職人・李同源と香炉のいびつな盲愛にミステリーが絡んだ作品!これは史実に圧倒されてしもたんやけど、その他のラワン材めぐる「年輪のない木」、仏像めぐる「小指を追う」、バーミヤンの大仏でてくる「カーブルへの道」とかはどれも盲愛と犯罪が短いページでうまいことまとめられててさくさく楽しめた!陳さんのミステリー、他にも読んでみたなった!2022/11/29
ムー
8
表題作は直木賞受賞作ではあるけど長い。大河ドラマですが そんなに凄いとは思えず。他の作品はどれも大変面白い。 陳さんの作品に興味を覚えた。ベストに近い傑作短編集です。2020/01/14
Tanaka9999
6
年輪のない木、太湖帰田石、小指を追う、カーブルへの道、青玉獅子香炉の5篇。青玉獅子香炉が中編で他は短編。青玉獅子香炉の歴史的出来事と人の推理ものの融合はいい。他の短編も推理小説として面白い。カーブルへの道では、ISに破壊されたバーミヤンの大仏がでてくる。詳しく叙述しているが作者の実地取材か、資料から書いたのか。2018/10/26
hirayama46
5
陳舜臣のミステリ寄りの小説を読むのははじめてでしたが、いや、これは面白いですね……。いずれの短編も強い情念があり、芳醇な物語を読む愉しみがありました。佳作揃いの本ですが、特に気に入ったのは重厚な表題作と、貴重な掛け軸をめぐってまさかの格闘戦が行われる「カーブルへの道」。2023/05/27