文春新書
歴史人口学で見た日本

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  • サイズ 新書判/ページ数 204p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166602001
  • NDC分類 334.2
  • Cコード C0221

内容説明

コンピューターを駆使してこれまで打ち捨てられてきた「宗門改帳」などの人口史料を分析し、人口の観点から歴史を見直そうとするのが歴史人口学。その第一人者である著者の精緻な研究から、近世庶民の家族の姿・暮しぶりがくっきり浮かび上がってきた。例えば、江戸時代の美濃のある村では結婚数年での離婚が多く、出稼ぎから戻らない人も結構いた、十七世紀の諏訪では核家族が増えて人口爆発が起こった、などなど。知られざる刮目の近世像である。

目次

第1章 歴史人口学との出会い
第2章 「宗門改帳」という宝庫
第3章 遠眼鏡で見た近世―マクロ史料からのアプローチ
第4章 虫眼鏡で見た近世―ミクロ史料からのアプローチ
第5章 明治以降の「人口」を読む
第6章 歴史人口学の「今」と「これから」

著者等紹介

速水融[ハヤミアキラ]
1929年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業。経済学博士。日本常民文化研究所研究員、慶応義塾大学教授、国際日本文化研究センター教授を経て、現在、麗沢大学教授。専攻は日本経済史、歴史人口学。2000年、文化功労者に顕彰される
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感想・レビュー

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えちぜんや よーた

91
なぜ日本人にとって働くことは美徳なのか。西洋でも働くことは宗教改革によって働くことは美徳とされた。プロテスタントにとって労働→貯蓄→投資が神の恩寵にかなっているとされていたからだ。そこから資本が集約されて産業革命の時代が到来した。一方、日本人の産業革命は江戸時代の「勤勉」によってもたらされた。ただし西洋の勤勉と異なる点は労働の集約で余剰生産を確保してしまった。悪い言い方をすると人海戦術だ。余剰生産がにあるのに現代にいたって「働かざるもの食うべからず」の考え方が根強いのはこの勤勉革命に負うところが大きい。2018/05/06

KAZOO

56
最近日銀総裁まで人口減少を言い出して、2%達成についての危機感をつのっています。たしかに最近の動向でいうと、人口が経済に果たす役割は大きいのかもしれません。速水先生は江戸時代の宗門改帳という資料を分析して、各地ので出来事を詳しく推理しておられます。さらに明治以降についても分析してくれています。この様に人口と、経済成長などについて今後の日本の予測などもきちんとできればいいのでしょうが衝撃的な結果になるのであまり発表をしないのではないかとうがった見方を私などはしています。2015/05/28

樋口佳之

40
人畜の比率から家畜の減少を明らかにし、そこから労働集約型の勤勉革命があったとする部分、とても納得できる話でした。家畜の減少は全国的にあったのかなあ。2020/09/15

サトシ@朝練ファイト

26
一気読みしました。「宗門改帳」(一種の異端審問)を元に江戸時代の一地方の人口、人の流れを追っていきます。これが実に面白い、歴史に対する考え方のベースになるのかなあなんて思ったりして。2022/07/31

小鈴

20
歴史人口学の第一人者が、学問の出会いから研究方法、分析結果、今後の課題まで平易な口調で説明していて興味深い。膨大な宗門改帳から見えてきた近世社会とは、大規模家族から直系家族化の過程であり、農村の余剰人口は都市に流れ込むが都市の人口はほぼ一定、つまり死亡率が高い都市アリ地獄状態の社会であった。また、農村では地位の低い小作の出稼ぎ率が高いため都市で死亡するなどで廃絶する可能性が高く、その農地を地主や自作農が埋めていく社会であった。その他にも興味深い記述多数。メモ。2012/04/09

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