海を抱いて月に眠る

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  • サイズ B6判/ページ数 320p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163908120
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

父の遺品から出てきた一冊のノート。そこには家族も知らない半生が記されていた。ノートから浮かび上がる父の真実の姿とは?親戚にも家族にも疎まれながら死んでいった在日一世の父。だが、通夜では、人目もはばからず棺にすがりつく老人、目を泣きはらした美しい女性など、子どもたちの知らない人びとが父の死を悼んでいた……。

父の遺品の中から出てきた古びたノート。そこには家族も知らなかった父の半生が記されていた。ノートから浮かび上がる父の真実の姿とは。そして子どもたちに伝えたかったこととは?



深沢潮さんは、2013年『ハンサラン 愛する人びと』で単行本デビュー。在日朝鮮人をテーマにした作品を次々に発表し話題を呼んでいます。

本作は、日本海を泳いで渡ってきた(!)深沢さんの父親のエピソードを元に書き上げられました。深沢さんは、幼心になぜ戸籍にある父親の誕生日と、実際の父親の年齢が違うのか、たまに家族と食事を共にする身なりのいい韓国人は誰なのか不思議に思っていたと言います。その疑問に父親は答えることはありませんでしたが、ここ数年ポツリポツリと自分の過去について娘に語るようになりました。

その一つ一つのエピソードは驚きに満ちていて、父は娘の想像を遥かに超える人生を送っていたことが明らかになりました。父親の知られざる過去の話を聞くことで、初めて父を理解できた気がする、と深沢さんは語っています。



祖国を逃げ出し、日本では偽名で暮らすことを余儀なくされ、しかも常にKCIAの監視を受けていたそう。そのような境遇にありながら、一代で財を成した男の半生に、胸を打たれずにはいられません。家族とは何か? 在日とは何か? デビュー以来追い続けてきたテーマが結実した一世一代の勝負作です!

深沢 潮[フカザワ ウシオ]
著・文・その他

内容説明

親戚にも家族にも疎まれながら死んでいった在日一世の父。遺品の中から出てきた古びたノートには、家族も知らなかった父の半生が記されていた。ノートから浮かび上がる父の真実の姿とは。そして子供たちに伝えたかったこととは?

著者等紹介

深沢潮[フカザワウシオ]
1966年、東京都生まれ。2012年「金江のおばさん」で「女による女のためのR‐18文学賞」大賞を受賞。受賞作を含む連作短編集『ハンサラン 愛する人びと』(文庫で『縁を結うひと』に改題)でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

モルク

103
偏屈だった在日一世の父の葬儀に来て悲しむ女性と嘆き泣く老人。そして父の遺したノートを読み子供たちは父の本当の姿と一生を知ることとなる。友と密航船で海を渡り日本へ。終戦間もない日本でコリアンに対する日本人の目、差別…それでも父は祖国を思い誇りを忘れない。若き活動家として祖国を憂いオモニを想う。そんな彼も自分の妻子に対しては不器用だった。素直な愛情表現も出来ず不機嫌、無愛想な態度しかとれない。本当の姿を知らず優しい言葉を掛けられることもなく亡くなった母が不憫だ。著者の父がモデルの作品。とてもよかった。2020/02/03

ゆみねこ

79
亡くなった在日一世の父、遺品の中から出てきた古びた大学ノートに綴られた、家族も知らなかった父の半生。決死の思いで海を渡った父、不器用で言葉少なかった男。しかし、時代がそうだったとは言え、奥さんは辛かったでしょうね。せめて奥さんには心の内を明かせたら良かったのに。2018/06/15

taiko

73
気難しかった在日韓国人の父の葬儀の際に、父の死を悲しむ見ず知らずの女性と、棺にすがりつくように泣く老人の姿があった。彼らは誰なのか。家族の知らなかった父の本当の姿とは。…在日韓国人の著者の父の経験を元にした作品とのこと。驚きと感動と、自分の不勉強とで、複雑な気持ちになりました。不器用なお父さんが生きているうちに、2人の子供が事実を知れれば良かったのにと思いましたが、実際には、著者がお父様の話を聞くことが出来た為この作品が生まれたのですから、そこは良かったのですね。朝鮮半島や在日韓国人の歴史など、→続く 2019/11/25

野のこ

66
まるでノンフィクションのようでした。在日コリアンの政治問題や運動のこととか知らなかったので、興味深く 読みごたえがあったし、高校の当時仲良かった友人と学生時代のアルバイト先の可愛がってくれた店長から親が韓国人だと教えてもらったことを思い出しました。2人とも真がしっかりしてて頼もしかった。故郷の地を大切に想うかぁ。。ただ、どうしても母の容淑の気持ちになってしまい、頑固な父の態度に、もっと家族と接して欲しかったと残念な気持ちになりました。もうっ!不器用すぎやよ〜!2018/06/19

やこ´•ᴥ•`

63
横暴だった在日1世の父が死んだ。父の若い頃を何も知らなかった息子と娘は、父の遺品から半生を綴ったノートを見つけ...---読書というものは、自分の知らなかった、興味のなかった、関心のなかった世界を教えてくれる。まさしく本作も私にとってそんな作品だった。在日の人たちの来歴まで深く考えたこともなかった自分の無関心さに情けなくもなり。ちょうどNHKで始まったドラマ「心の傷を癒すということ」も在日コリアンが主人公のお話だったので、妙な符合を感じ、今自分が知るべきことなのかなと思った。一気読みでした。2020/01/21

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