毒々生物の奇妙な進化

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  • サイズ B6判/ページ数 280p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163906010
  • NDC分類 481.9
  • Cコード C0098

出版社内容情報

刺した獲物をゾンビにするハチ、無痛で人を殺すタコ……。彼らの遺伝子には何が刻まれているのか。毒に魅了された女性科学者が迫る。猛毒種のDNAには、生命の歴史が詰まっていた!



◎本書に登場する愛おしくも恐ろしい奴ら◎



・カモノハシ:カワイイ姿のその蹴爪に猛毒を隠す。刺されると大量のモルヒネを

投与しても全く効かないほどの激痛に襲われる。

・サシハリアリ:アマゾンの部族では、大量のサシハリアリを入れた手袋に手を入

れて我慢する、という通過儀礼が今も存在する。部族以外では2、3秒で卒倒する。

・アンボイナガイ:美しい貝殻に見惚れて手に取ったら最後。モリのような歯でど

の毒ヘビよりも強力な毒を打ち込まれ、数分で命を落とす。

・エメラルドゴキブリバチ:人間には無毒だが、ゴキブリにとっては悪夢の存在。

脳に直接毒液を注入し、そのゴキブリをマインド・コントロールする。

・ヤママユガの幼虫:毛のように見えるトゲの1本1本に毒がある。刺されると傷口

や鼻・目の粘膜からの出血が止まらなくなる。



【目次】



■はじめに 世にも奇妙な毒々研究の世界



■第1章 猛毒生物の遺伝子に挑む

私はカモノハシに会うためオーストラリアを訪れた。可愛い彼らは、実は猛毒

種である。その毒液からはクモやヘビ、トカゲなど、さまざまな生物から切り

貼りされたような遺伝子が大量に見つかっている。それは何を意味するのか?



■第2章 最凶の殺戮者は誰だ?

海でクラゲに刺され、猛烈な痛みのなか意識を失った女性。なんとか一命をと

りとめた彼女はその後、毒クラゲの研究者になった。自分を襲った毒は何だっ

たのか。そして彼女が見つけ出したのは、赤血球を破裂させる猛毒成分だった。



■第3章 注射するのはヘビの毒

免疫を進化させ、毒ヘビを食べられるようになったマングース。では、同じ哺

乳類である人間も毒への耐性を獲得できるのか。それを解明すべく、26年間

にわたりヘビの毒を自分の体に注射しつづける男。その体に起きた異変とは?



■第4章 人生を変える「激痛」

昆虫学者のシュミットは「刺されると痛い昆虫」ランキングを作るため、アリ

やハチなど、78種に自ら刺された。その1位はサシハリアリで、ふつうは刺さ

れると数秒で卒倒するという。実物を見るため、私はアマゾンに向かった。



■第5章 人食いトカゲの島へ上陸

インドネシアのリンチャ島に生息するコモドオオトカゲ。毒で獲物を出血死さ

せる凶暴な彼らは、ときには人間さえも食べてしまうという。その小さな島に

上陸した私がまず目にしたのは、彼らに食べられた動物たちの頭骨だった。



■第6章 骨の髄まで食べつくす

あらゆる毒の中でも、私たちの体を壊死に至らしめる毒はもっとも残酷だとい

える。ドクイトグモに咬まれると、私たちの皮膚は青、赤、紫、黒と変色して

壊死する。その症状の「ロクソスセレス症」は、絶対にググってはいけない。



■第7章 そのとき食物連鎖が逆転した

美しい貝殻の内に、人を殺せるほどの猛毒を隠しもつイモガイ類。彼らはかつ

て、海の中では魚類に食べられる弱い存在だった。だが、身を守るために手に

した毒を進化させることで立場が逆転。魚類を食べる捕食者へと変身したのだ。



■第8章 恐怖のマインド・コントロール

エメラルドゴキブリバチは、獲物の心を操り、ゾンビ化させる特殊な毒をもっ

ている。毒を送り込まれたゴキブリは、幼虫の餌として進んで自らを差し出す

のだ。一方、人間の心を操る毒も存在し、闇市場では高額で売買されている。



■第9章 ミツバチの毒がHIVを殺す

生物が作りだす毒はどれも、製薬学にとっては宝の山である。2000年代以

降、その毒から新たな薬が発見されているのだ。糖尿病からアルツハイマー、

筋ジストロフィー、そして癌に至るまで、毒由来の特効薬が次々と現れている。

クリスティー・ウィルコックス[クリスティー ウィルコックス]

垂水 雄二[タルミ ユウジ]

内容説明

進化した毒は薬にもなる。世にも奇妙な毒々研究の世界。

目次

第1章 猛毒生物の遺伝子に挑む
第2章 最凶の殺戮者は誰だ?
第3章 注射するのはヘビの毒
第4章 人生を変える「激痛」
第5章 人食いトカゲの島へ上陸
第6章 骨の髄まで食べつくす
第7章 そのとき食物連鎖が逆転した
第8章 恐怖のマインド・コントロール
第9章 ミツバチの毒がHIVを殺す

著者等紹介

ウィルコックス,クリスティー[ウィルコックス,クリスティー] [Wilcox,Christie]
生物学者。2014年にハワイ大学で博士号取得(細胞分子生物学)。現在はハワイ大学でポスドクとして毒々生物を研究する傍ら、サイエンス・ライターとして『ニューヨーク・タイムズ』や『ワシントン・ポスト』にも寄稿している

垂水雄二[タルミユウジ]
翻訳家。科学ジャーナリスト。京都大学大学院理学研究科博士課程修了。生物学、進化論翻訳の第一人者として知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

87
面白かった。タイトルだけでは毒を持った生きものの紹介した本のようだが内容は毒について、毒がどのように作用するのか蛇をはじめクモ、サソリ、アリ、トカゲetcに刺されたり噛まれたりしたときの痛み、毒に関する様々な文献を元にした記事でまとめられている。サシハリアリに刺されたときのとんでもない痛みや、自分で免疫を高めるために蛇からとった毒液を注射する話。インドのブラックマーケットではコブラの毒を飲み物にいれて飲ませるところがあるそうだ。とても恍惚感にあふれるそうだがどうなのだろう。他満載。オススメです^^2017/03/24

ポルトン

54
仏教の世界では変毒為薬なんて言葉があるみたいですが… 毒の研究が解毒薬や新たなる薬の開発に繋がっているっていうのがよくわかる本でした。カモノハシの毒が新たなる薬を作るかも?って話は面白かったです!2019/02/16

ホークス

53
進化生物学、生態学、生理学を総合して毒液生物の驚異を語る。マニアックだが真面目な研究ルポ。蚊はマラリア等の病原体を送り込み、最も多くの人を殺している毒液生物。蛇の脅威は、人類に蛇を認知する特別な視覚を発達させた。蜂やカサゴの毒は我々の神経を騙し、実際に損傷が起きるずっと前に痛みの信号を送らせる。厄介なアレルギー反応は、一方では抗毒能力を後天的に獲得する機能でもある。各種毒素の説明はやや専門的だが、それ以上に興味深くておぞましい。毒素の強力な鎮痛効果、様々な治癒効果はホットな研究課題になっている。2019/11/10

バトルランナ-

36
カモノハシに毒があるなんて知らなかった!日本で見れない! キングコブラに噛まれた場合の死亡率は50%から60%。毒ヘビ全体では約2%。インドアマガサヘビは60%から80%。 毎年何十万人人を殺してるのは蚊。最悪の生物。 マングースって毒の耐性があったんだ! アレルギー患者の発ガン率は低い。 エメラルドゴキブリバチのマインドコントロールすごいなぁ。ゴキたまってもんじゃない。刺されると30分かけて身繕いを始める。生きたまま蓋されて仮死状態。運動能力が残ってるのに逃げないで食べられる。毒生物への著者の愛4点。2019/03/15

鬼灯の金魚草

24
毒それは素敵な物質。がしかし、私は何にも知らなかった。生き物が自らを守る、もしくは他の生き物を捕食するのに自分が持つ毒液。それは生命維持をも凌駕するほど大変なエネルギーを必要とする。なのに自分の体に貯めたり、作ったり。しかしその毒液が我々人間の難病と言われる完治の難しい病気に役立っているらしい。ミツバチの主要な毒液からHIVを攻撃し、殺せることが発見され、タランチュラの毒液は筋ジストロフィーに対して、ムカデの毒液は容赦ない激痛に対して試験が行われている。でもやっぱり凄いのはそんな毒液を自ら自分に刺す人。 2017/04/09

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