出版社内容情報
昭和八年、「月辰会研究所」から出てきた女官が自殺した。特高係長は謎を追うが──。満州と日本を舞台に描く未完の大作千七百枚!
内容説明
宮中に何事か画策する謎の新興宗教。昭和8年。東京近郊。梅広町の「月辰会研究所」から出てきたところを尋問された若い女官が自殺した。自責の念と不審から「月辰会研究所」をマークする特高課第一係長・吉屋謙介。やがて渡良瀬遊水池から、2つの死体が…。巨匠松本清張が渾身の力を揮った絶筆1700枚。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひかる
8
父が購入したので。女官や阿片特売人など、予備知識の全くない内容なので前半苦戦。しかし、やはり清張。作り込みが細密でページをめくってしまう。遺作として未完なのでこの後どう展開していくのか、どこで終わってしまうのか楽しみかつ怖い…。消化不良になりませんように。父が早く下巻読み終わりますように(T_T)2012/06/27
ぼっくん
1
一つの事実から仮説を立て丹念に事実を拾い集める作業。まさに足で稼ぐ。世情不安な時代背景に大陸の魑魅魍魎も絡まり徐々に繋がっていく。ワクワクしながら下巻へ。2018/07/09
イカ男
1
著者が20年温めた構想だけあって重厚なストーリー展開にハラドキの時間を満喫しました。すごい筆力の作家です。2012/06/16
sumjin
1
清張が「週刊文春」連載中に病に倒れ未完の遺作となってしまったが、下巻では編集部が、清張との取材や打ち合せを通じてクライマックスを想像させてくれる。昭和の時代が終わろうとしていた時期に、清張が書きたかった宗教と宮中。2011/04/07
中年親爺
1
この本が出版された当初くらいに、清張の遺作ということで読んだことはあり、めったに小説などには登場することのなかった生まれ故郷が出てきて感動したくらいの記憶しかなかった。原氏の解説書を読んだ後天皇家の世継ぎ問題を念頭に置きながら改めて再読してみると、全く違った風景として現れて見えた。原氏ではないが、清張の頭の中でこの小説の結末がどうなっていたのか、非常に好奇心をそそられる。2011/02/20