ハヤカワSFシリーズ
グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉

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  • サイズ B6判/ページ数 309p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784152084439
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

ネットワークのどこかに存在する、仮想リゾート“数値海岸”の一区画“夏の区界”。南欧の港町を模したそこでは、人間の訪問が途絶えてから1000年ものあいだ、取り残されたAIたちが、同じ夏の一日をくりかえしていた。だが、「永遠に続く夏休み」は突如として終焉のときを迎える。謎のプログラム“蜘蛛”の大群が、街のすべてを無化しはじめたのである。こうして、わずかに生き残ったAIたちの、絶望にみちた一夜の攻防戦がはじまる―仮想と現実の闘争を描く『廃園の天使』3部作、衝撃の開幕篇。

著者等紹介

飛浩隆[トビヒロタカ]
1960年島根県生まれ。島根大学卒。三省堂ストーリーコンテスト入選作「異本:猿の手」がSFマガジン1983年9月号に掲載されてデビュー。以後、「象(かたど)られた力」ほか、約10篇の中短篇を同誌に発表、斬新なSF的アイデアと端正な筆致から「第2の山田正紀」とも評されるが、1992年発表の異色音楽SF「デュオ」を最後に沈黙。『グラン・ヴァカンス』は、10年ぶりの作品にして、初の長篇にあたる
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

keroppi

57
「ポリフォニック・イルージョン」を先に読んでしまい、やっと本作品を読んだ。何といっても設定が素晴らしい。ゲストが訪れることがなくなった仮想空間リゾート。自分の記憶や街の歴史もプログラムされたもの。そこを襲う蜘蛛。十分理解出来ていない所もあるが、詩的な発想力は、魅力的。蜘蛛は、先日観た映画「複製された男」、六本木ヒルズやスペインの美術館にあるオブジェ「ママン」、画家ルドンの「蜘蛛」…を想起してしまった。さぁ、「ラギッド・ガール」に進もう。2018/08/22

たまご

22
この純粋さは,自分にはない.私たちは,自分が一番やっぱり大事なので,認識をゆがめ,自分に都合の良い設定に変化させていくから. だからこその美しさ. …と,今の現実の設定のゆがめられ方に悩まされつつの感想でした. やっぱりすごいなー,次行かなきゃ.2018/12/05

えも

21
さて、2018年はハードなSFから始めてみました▼仮想空間の中にあるリゾート地に起こる突然の悲劇。全てがメモリなのにリアルな出来事に感じるのは、僕ら自身がバーチャルで仮想な存在なのかも知れないっていう不安が引き起こしているのかもね。でも彼らだってアイデンティティをかけて闘っているんだし、いわんや僕らをも、ってことだろうな。2018/01/01

なしかれー

8
人間のために作られた仮想リゾート崩壊の話。仮想空間で暮らすAIは自らAIであることを理解し、思い出が作られたものであることを理解している。ただでさえ圧倒的な絶望に目眩がしそうなのに、その設定に嫌悪感すら感じる。刷り込まれた思い出のえげつなさや、絶え間なく感じる苦痛、合間に挟まれる官能、どう考えても負け戦である状況のなか読み進めるのには精神力が必要。と、結構ダークな雰囲気にも関わらず、風景の描写はきれいだったなという印象。人を選ぶけれど、力のある作品だと思う。続きも読もう。2013/07/06

ひょろ

6
残酷で美しい。この一言に尽きる。夏の区界はある目的のために襲撃を受けるのだが、その目的のために夏の区界が作られたのではないかと思うほど精巧に作られている(もちろん襲われるために作者によって作られたのではあるが)。なんというかあまりに美しく破壊されていくため破壊されるために作られた機能美のようなものが感じられる。消化されない謎が残るがそこは続編で(というか10年以上待っているんですけど)2014/11/13

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