父の迎えを待ちながらピンボール・マシンで遊んだデパート屋上の夕暮れ、火星に雨を降らせようとした田宮さんに恋していたころ、そして、どことも知れぬ異星で電気熊に乗りこんで戦った日々…そんな〈おれ〉の想い出には何かが足りなくて、何かが多すぎる。
いったい〈おれ〉はどこから来て、そもそも今どこにいるのだろう?―日本SF大賞受賞の著者が描く、どこかなつかしくて、せつなく、そしてむなしい物語たちの曖昧な記憶。
北野勇作[キタノユウサク]
1962年兵庫県生まれ。1992年、『昔、火星のあった場所』が第4回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞してデビュー。その後、SFマガジン誌を中心に数多くの短篇作品を発表する。2001年発表の長篇『かめくん』が第22回日本SF大賞および「ベストSF2001」国内篇第1位を獲得。理系的なアイデアを叙情性に満ちた日常描写でつつんだ独特の作風が人気を集めている
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