内容説明
1897年、北極探検家ピアリーは、幾多の“手土産”とともにニューヨークに華々しく凱旋した。そのなかには、珍種動物同然の扱いを受けることになる6人のエスキモーがいた。彼らはニューヨーク自然史博物館の学者たちが追究する「人類学」のために連れて来られたのである。北極地方とはかけ離れた暑さと湿気に冒され、エスキモーたちは次々と倒れてゆく。ともに来た父に死なれたエスキモーの少年ミニックは異邦で孤児の身になってしまう。ある日、埋葬されたはずの父が、博物館で骨格標本として陳列されている姿を見つけたミニックは、遺骨を取り戻そうと、絶望に陥りそうになりながらも懸命に手を尽くすが…文明の傲慢さと無理解に翻弄され、肉親も故郷も失い、北極とアメリカという二つの世界に引き裂かれてしまった少年の彷徨を、20世紀初頭の探検熱と人類学のありようを批判的に俯瞰しながら描き出した衝撃の物語。ケヴィン・スペイシーによる序文・映画化。
目次
ピアリーの家来
鉄の山
アメリカ到着
ニューヨークで孤児になったエスキモー
アメリカ人ミニック
ウォレスの事件
詐欺
「涙の人生に運命づけられて」
父さんのからだを返して
科学のために
「とても哀れなミニックの遭遇」
「絶望的な流浪の境遇」
北極計画
逃亡
「破棄できない契約」
グリーンランドへの帰郷
ふたたびエスキモーとして
チューレ基地
ウイサーカッサク:大嘘つき
指名手配:生死を問わず
クロッカーランド探検隊
ふたたびブロードウェイに
北の国
著者等紹介
ハーパー,ケン[ハーパー,ケン][Harper,Kenn]
1945年カナダのオンタリオ州生まれ。長年にわたって、バフィン地方やグリーンランドのカーナークなど北極地方に住む。エスキモーの社会に深く関わりながら、教師、歴史家、言語学者、経営者として活動する。エスキモーの歴史と言語について研究を行ない、著作を発表している
鈴木主税[スズキチカラ]
1934年生まれ。翻訳グループ牧人舎代表。マンチェスター著『栄光と夢』で翻訳出版文化賞を受賞
小田切勝子[オダギリカツコ]
1962年生まれ。京都大学文学部哲学科卒業。フリーの実務翻訳者を経て、牧人舎に参加
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感想・レビュー
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