ペトロス伯父と「ゴールドバッハの予想」

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  • サイズ B6判/ページ数 206p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784152083364
  • NDC分類 991
  • Cコード C0097

内容説明

「2より大きいすべての偶数は、二つの素数の和で表わすことができる」これが、200年もの間、証明されたことのない難問「ゴールドバッハの予想」である。ギリシャの田舎に隠棲するペトロス伯父は、かつて天才的数学者だった。その伯父でさえ証明できなかった難問こそが「ゴールドバッハの予想」であった。そんな伯父は一族から「嫌われ者」あつかいされているが、甥のわたしだけは彼を敬愛している。だから、伯父は「ゴールドバッハの予想」と苦闘した過去をわたしにうちあけたのだ。その闘いは、若き日の伯父が留学したドイツで幕を開けた…。数学の論理と美が思考を刺激し、学者の狂気の人生が心をうつ。数学の魔性に惹きこまれた男の数奇な人生を紡ぎ出す稀代の物語。

著者等紹介

ドキアディス,アポストロス[Doxiadis,Apostolos]
1953年、オーストラリアに生まれ、その後ギリシャで育つ。15歳の時、コロンビア大学で数学を専攻。後にパリの高等学院(EPHE)で数学を本格的に学ぶ。卒業後、映画制作に携わり、監督・脚本を務めた第2作「Terirem」(1987年)がベルリン国際映画祭で国際批評家賞を受賞した。1985年、『A Parallel Life』で作家デビュー。現在まで小説を4作刊行している。3作目にあたる『ペトロス伯父と「ゴールドバッハの予想」』は1992年にギリシャで発表され、その後アメリカ、イギリスなどで翻訳された

酒井武志[サカイタケシ]
1961年生。京都大学理学部卒、英米文学翻訳家。訳書に『シグマの誓い』ロブ・キーン、『追放者』ホセ・ラトゥール(以下早川書房刊)他
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Motomi Kojima

12
ゴールドバッハの予想とは「2より大きい偶数は、二つの素数の和であらわすこどができる。」こと。具体的な数字の例では24=11+13,26=3+23になり無限にある偶数に対してついになる素数がある。一見簡単だがこの問題は250年以上解かれていない。本書はこの予想の証明に人生を賭けて挑戦したギリシャ人のペトロス叔父さんの物語です。ギリシャという社会を背景にした人物描写、第一次世界大戦後の時代背景、何よりも一見簡単だけど奥が深い数学の整数論、素数の世界の深さ、2015/05/09

文公

10
ゴールドバッハの予想に取り組んだ数学者ペトロスとその甥の物語。ペトロスがその全てをかけて、ゴールドバッハの予想という怪物ミノタウロスを倒さんと踏み入ったラビュリントス。しかしゲーデルによってミノタウロスの倒し方なんて存在しない「かもしれない」と言われ、さらにその仮説が正しいかなんてわからないとチューリングに証明された時に何を思っただろうか。結局彼はその生涯の最後に「証明できた!」と甥に打ち明けたが、果たして彼は証明できたのだろうか。この感想欄は結末を書くには狭すぎるので、自身の目で確かめていただきたい。2022/07/30

まねきねこ

6
はかなくて偉大な伯父の話やった。数学小説は何冊か読んだけど、これだけ自分の心に響いたのはこの本だけ。いい本に出会えた。2015/07/31

shishi

6
[A]数学を題材にした小説。天才数学者だったが、「ゴールドバッハの予想」の証明に取り掛かり、結果として失敗するペトロス伯父の物語。ハーディやリトルウッド、ラマヌジャン、「ゲーデルの不完全性定理」など数学の重要人物並びに重要定理が物語の要所で結び目として機能する。「人生の秘訣とは、達成可能な目標を定めること」という保守的な教訓は、初めに語られる時、読者に不信や反発を誘うが、二度目に語られる時、それは読者に反論の余地を与えぬほどに納得させてしまう。数学の魅力、厳しさ、残忍さを描いた小説。2013/11/13

レオンハルト=フリードリヒ=ソートイ

5
ゲーデルの不完全性定理についてしらべていくうちに読んだ。数学の未解決問題に正面から挑んだペトロス。素数を調べることは数学の神秘=世界の美しさの秘密を解き明かすこと。ハーディー、リトルウッド、ラマヌジャン、ゲーデルなどのレジェンド級も登場し、読み物としても面白い。ゴールドバッハの予想、数学研究のいきさつ、不完全性定理について数式なしに読める良書です。2015/03/29

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