出版社内容情報
東京湾で女性の死体が発見され、被害者の友人ルーシーは事情聴取を受けるが。日本が舞台の傑作ミステリ。英国推理作家協会賞受賞
内容説明
彼は傘もささず、雨の新宿で写真を撮っていた―。東京に住むイギリス人女性ルーシーは、激しい恋に落ちた日本人男性禎司との出会いを回想する。しかし来日して間もない友人リリーを彼に紹介したときから、奇妙な三角関係がはじまった。そして今、ルーシーはリリーの殺人容疑で事情聴取を受けている。はたして東京で、佐渡島で、故郷イギリスで、何が起きていたのか?英国推理作家協会賞受賞のサスペンス。映画化原作。
著者等紹介
ジョーンズ,スザンナ[ジョーンズ,スザンナ] [Jones,Susanna]
1967年イギリスのヨークシャー生まれ。ロンドン大学で演劇を専攻。大学卒業後、1988年に来日、名古屋の高校で英語教師を一年務めた。1994年に再度来日し、千葉県の中学と高校で英語を教える。その後、マンチェスター大学大学院で創作を学んだ後、三度目の来日を果たし、NHKラジオなどに勤務。2001年に『アースクエイクバード』でデビューし、英国推理作家協会(CWA)賞最優秀新人賞などを受賞
阿尾正子[アオマサコ]
横浜市立大学文理学部国際関係学科卒、英米文学翻訳家。訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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くさてる
13
NETFLIXで映像化された予告を見て興味を惹かれたので原作を読んでみた。日本を舞台にしているけれど描写は正確。ただ、一人称と三人称が混在する語り口が単純に読みにくく、分かりにくいので、語り手をはじめとする主要登場人物に魅力を感じられないのにはちょっと困った。禎司はもっと魅力的な人物になった気がします。ミステリとしての展開も想像通りなのはともかく、なんだか全体的にもう一味足りないという読後感でした。2020/01/18
J・P・フリーマン
11
ストーリーの大半がルーシーの回想で構成されている、日本が舞台のサスペンス。ミステリとしては内容が弱いと感じました。日本の街並みや文化を細かく描写していることは、英国では物珍しさが評価されるかもしれませんが、日本人にとってはごく当たり前の光景を魅せられるので新鮮さがありません。CWAの新人賞作品ということですが、日本では評価が辛くならざるを得ないでしょう。2019/11/10
たみ
5
主人公・ルーシーが友人の殺害容疑で尋問されながら、どうしてこうなったのかを回想する形式で語られるストーリー。佐渡が一部舞台となっていると聞いたので読んだ。一人称視点ながら自身のことをたまに「ルーシー」と呼ぶほか、回想も定かではなく、曖昧という点で信頼できない語り手。ルーシーに付き纏う死の香りが終始影を落としている上にオチから入るタイプの話なので、概ねずっと陰鬱。展開も想像を超えるとかはなかったが、むしろそれがストンと嵌まる感じ。佐渡旅行の描写は迫真だったけどこれ読んで佐渡に行きたいとはならないかな……。2022/07/02
てっちゃん
1
現実と主人公ルーシーの妄想が、渾然一体となり、何が真実か分からない。その曖昧さを楽しむんだろうな。ただ、主人公にはあまり感情移入できなかったな。2019/11/09