ハヤカワ文庫
きみの血を

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  • サイズ 文庫判/ページ数 239p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784150410278
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

ある米軍駐屯地で、精神科医でもある少佐が一通の手紙の差出人である兵士を訊問した。文面があまりに異常だと思われたからだ。兵士のジョージは、少佐から手紙の内容を問いただされると態度を急変させ、コップを握り潰して彼に飛びかかろうとした。ところが、傷ついた自分の手から流れる血を見るや、いきなりそれを吸いはじめたのだ。ジョージの異常な行動を生んだ秘密とは?幻想的SFで知られる巨匠の幻の傑作登場。

著者等紹介

スタージョン,シオドア[スタージョン,シオドア][Sturgeon,Theodore]
1918年ニューヨーク生まれ。ハイスクール卒業後、ペンシルヴェニア州立の海洋学校に入り船員生活を送るかたわら小説を書きはじめる。1940年~50年代にかけてSF誌に発表した作品で人気を得はじめ、『人間以上』(1953)で国際幻想文学賞を受賞し、人気作家としての地位を不動のものにした。他の代表作としては『夢みる宝石』(1950)がある。1985年没

山本光伸[ヤマモトミツノブ]
1941年生、国際基督教大学歴史学科卒、英米文学翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

miroku

27
スタージョン的吸血鬼仮説。あいかわらず上手い!2018/04/21

こすも

14
信頼できない語り手による導入。ニ人称、一人称、三人称と変幻自在に語りのスタイルを変え、ラストに信頼できない語り手が再登場して〆。語りの形式が凝っていて、もうこれだけで大好きです。本作品は、ホラーサスペンス小説の古典という位置づけですが、スタージョンらしい人間観察やユーモアとウィットに富む会話は、まさに文学的な愉悦を与えてくれます。また、ミステリーとして読むのも楽しく、実に多面的な読み方が可能で懐が深い。スタージョンの隠れた名作という評価も頷ける素晴らしい作品でした。2018/01/24

ふう

13
手記という形式を存分に使い、淡々とした語り口で描くミステリー、ホラー且つ青春ものの古典的名作。なんの予備知識もなく読んだほうが絶対いい作品(難しいだろうけど)。この違和感はどこから来るのか、どういう着地をするのかが気になってさっと読んでしまったのでまたいつかしっかり読み直さないと。物語の深いところを理解してなさそうだから。それでも読み終えて、タイトルそしてたった3行の手紙の意味を噛みしめることは受け合い。2014/08/20

hirayama46

7
とある兵士の吸血行為の謎を解く、ミステリ仕立ての物語なのですが、手紙を利用した捻りのある語りや、ホラー的な彩りといい、なかなかに一筋縄ではいかない、スタージョンらしい小説でした。短めの長編ながらもなかなか濃厚。2017/11/25

南禅寺の小僧

5
本編が地味だとか退屈だとかいう意見にはまったく同意できず、吸血鬼ものという括りも邪魔なだけで、孤独の作家スタージョンの感傷に涙した。小説は技術のためにあるわけじゃないし、カテゴライズされるためにあるわけでもない。それは人生もそうだ。「彼が彼女と結婚した考えうる唯一の理由は、彼女が彼に話しかけてくれたただ一人の女だからということであった。二人の間にそれ以上のものがないことは明らかだった。孤独だけである。人間は自分自身に孤独になり、耐え切れずにちょっかいを出し、結婚し、そして二人して孤独になるのだ。」2015/02/20

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