感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
慧の本箱
23
今結構嵌ってる『三河雑兵心得 足軽仁義』シリーズの作家井原忠政氏のインタビューで本書がオマージュだとのことだったので俄然興味をそそられて手にしてみた。主人公ホーンブロワーが17歳で士官候補生として軍艦に乗り込むところから始まる。はにかみ屋だわ船酔いはするは、スタート時点のホーンブロワーにはとても明るい未来は見えてこないトホホ状態。そのマイナスから始まる出世双六が正に『足軽仁義』と共通項でした。2023/01/04
Aminadab
23
執筆順第6作。「艦長編」1~5作に続いて若き日の主人公を描く「海尉編」第1巻、1794~98年をカバーする短編集。帆船海軍あるあるチュートリアル連作で、敵艦や商船の拿捕とその味方基地への移送などの話が主体ですごく読みやすいのだが、やはり「艦長編」を読んでからの方が個々の仕事の意味がよくわかる。鮮やかな離れ業は最終話292頁、拿捕船の甲板に出てきた公爵夫人の開口一番の台詞「ハッピー・バレンタイン」。これだけで読者には主人公が1797年2月14日のサンビセンテ岬沖海戦の渦中に陥ったことが伝わる。シリーズ快調。2022/12/21
Koning
10
そういえば登録してなかったじゃんか!ということで、ホーンブロワーを登録してみるの図。ついでに、ドラマも見たりして(笑)。今となっては高橋訳は以下略なところも多いしアレなとこも目立つのだけれど、やはりなんだかんだで夢中になってしましますね(笑)。2013/06/18
J・P・フリーマン
9
士官候補生であるホーンブロワーがフリゲート艦の一員として活躍する短編集。初任務に失敗したり、敵方に囚われそうになったりとさまざまなトラブルと戦いがホーンブロワーに襲い掛かりますが、持ち前の機知と機転で立ち向かいます。でも興奮状態になると冷静さとはかけ離れた大胆な行動をとるホーンブロワーも好き。別作品のトマス・キッドでは平水兵の生活が中心となっていましたが、本作では指揮をとるものの苦悩が描かれて、帆船軍艦内の組織についての理解が深まりました。2022/07/05
shiro
6
不朽の名作ホーンブロワーシリーズ。先にアランシリーズを読んでいたのでどうしても比べてしまうけど、本当にアランを先に読んでおいてよかった。専門用語が多く、作中にあまり説明がないせいでここから帆船小説に入ると挫折するかもしれない。内容は骨太で重々しく文章も上品でとても好み。人格的にも生真面目ではにかみやでここぞという時に決断力があり魅力的。ただ貧乏くじ引きがちな男でもある。こうして考えるとアランて本当に無鉄砲かつ要領よかったんだなと。ホレイショーってネルソン提督からじゃなくてハムレットからなんだね。2017/11/19