内容説明
アンドロメダ方面を発信源とする謎の有意信号が発見された。分析の結果、JAXAの野嶋と弥生はそれが恒星間測位システムの信号であり、異星人の探査機が地球に向かっていることを確信する―静かなるファーストコンタクトがもたらした壮大なビジョンを描く表題作、一人の女子大生の思いつきが大気圏外への道を拓く「大風呂敷と蜘蛛の糸」ほか全5篇を収録。宇宙開発の現状と真正面から斬り結んだ、野尻宇宙SFの精髄。
著者等紹介
野尻抱介[ノジリホウスケ]
1961年三重県生まれ。計測制御・CADプログラマー、ゲームデザイナーを経て、1992年、ゲーム「クレギオン」の設定をもとにした『ヴェイスの盲点』(ハヤカワ文庫JA)で作家デビュー。以後、“クレギオン”“ロケットガール”の両シリーズで人気を博す。2002年に上梓した『太陽の簒奪者』(ハヤカワ文庫JA)は新時代の宇宙SFとして絶賛を浴び、短篇版に続いて星雲賞を受賞、「ベストSF2002」国内篇第1位を獲得した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ntahima
60
一口にSFと言っても様々なジャンルがある。私が好きなのはスペースオペラではない、宇宙を題材にしたハードSF。本書は大傑作とは言えないものの、現代技術の延長線上にある実現可能な宇宙開発を題材にした粒選りの作品集。分量的制約ゆえ、ネタ帳的な面があることは否めないが、個人的には非常に楽しい読書時間を持ち得た。特に表題作及び『ゆりかごから墓場まで』『大風呂敷と蜘蛛の糸』のラストで語られる肯定的な生命観に共感を覚える。尚、各々の作品については〈本つぶ〉参照のこと。夏は星空の季節。7月は宇宙に関して集中的に読む予定。2012/06/28
とくけんちょ
58
非常にリアルな、実現可能と思わせられるようなSF作品集。一作がほどよい分量で、決して難解すぎず、科学の持っている可能性を親しみやすく伝えてくれる。だから、読んでいてワクワクする。できっこないは言いっこなし。大人になると、初めから諦めたり、できない理由ばかりを探しがち。好奇心に満ち溢れ、キラキラした目を持っていた頃に帰りたい。2021/11/17
GaGa
50
なかなか読みごごちの良かったSF短編集。すべての話しに明確な回答をあえて設けずに、読者の想像に任せるところは、どれもこれもが数十年のうちに現実に変わってしまう可能性があるからだろう。中でも「大風呂敷と蜘蛛の糸」はみずみずしい思いに駆られる秀作。「片道切符」のその後も読んでみたいなあ。2011/02/07
た〜
47
科学的考察かただの妄想か。前者であるところがすごい。ふわふわやピアピアと違い、ラノベ的要素を排しているぶん、若干読みにくいかもしれないが中身が濃く読み応えがある2012/10/15
きっしぃ
40
専門用語が多くて目が滑る…。途中まで読んで挫折しかけ、最後の「大風呂敷と蜘蛛の糸」が一番良いと言われ、再チャレンジ。結果やっぱり面白さわからずー…。SFって難しいね。2018/01/31