内容説明
ネバーランドは子供の島だ。河口に浮かんだ廃墟島に生きる子供たちは、腰に接続したカクテル・ボードから24時間ドラッグを大量摂取し、主観と客観、夢と現実が交錯する魔法の世界に住んでいた。他人の精神に意識を刷込む少年、幻覚の人造人間を操る少女。さまざまな力を発揮する彼らは、自らを「マウス」と呼んだ―フリークな少年少女たちの楽園を、SF界の新しい才能が、特異な言語感覚で描いたパンク・ノヴェル。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
眠る山猫屋
40
再読。牧野さんがホラーに染まる以前の傑作。17歳以下の子供達による独立地域ネバーランド。ドラッグによる異能特化した子供達が生きる街には、様々な出来事が…。連作としての結び付きも見事に昇華され、少々コミック調の物語のテンポもいい。悲劇的な物語が悲しみから飛び立つ様は、美しくさえあった。 2012/04/30
こら
32
お子さまジャンキー同士のヒャッハーバトル物かと思いきや、中盤の「ラジオ・スタア」から「??…えっ?!」となり、最終話「ボーイズ・ライフ」を読み終えると、こっちの現実感を揺さぶらせる奇想溢れる幻想譚でした。ジャンキー島が舞台なだけに、文章もグロテスクさ・気だるさ・疾走感が混在し独特の雰囲気。まさに読み手さえトリップさせる物語。2016/02/21
かもめ通信
23
みんなでレビューを持ち寄ってハヤカワ文庫の100冊を読み尽くすネット読書会で最後に残ってしまった1冊を恐る恐る読んでみた。18歳以下の子どもたちが暮らす“ネバーランド”。住人の大半は絶えず薬物を摂取し中毒で薬代を稼ぐために身を売ることも厭わない……なんて紹介文を読んだなら、怖れをなしても不思議じゃないでしょ?でもこれ意外なことになかなか良かった。設定はともかく、読み手に五感をフル回転させることを要求する筆力には恐れ入ったわ。2015/12/11
傘緑
22
「子供たちの一日は成人した者の千日に相当する。なのに子供の千日は大人の一日にしかすぎない」「重なりあい、溶け、絡み、歪んだ肉色のオブジェ。入り乱れた脚と腕と脚と脚と脚と脚と脚。デフォルメされた赤い唇と赤い女陰。屹立した陰茎の枝が繁る森。姉(ママ)の脚を死ぬまで愛したオナニストの画家、モリニエの絵画そのものの風景」ああ、いい気持ちだ。好きなんだ。ラジオのノイズのような小説が。病みと闇のいろんなものが詰まっていて、意味が捉えられなくて、わけがわからないのに気持ちいいんだ。「まるでビックリハウスの驚異の部屋だ」2016/10/24
宇宙猫
17
読んだときは凄く面白かったけど、今読んだらどうなんだろう。