ハヤカワ文庫
すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた

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  • サイズ 文庫判/ページ数 191p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784150203733
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

青年はある晩、黒髪の美女が縛りつけられ、漂流しているボートを目にした。女を救出し、浜へと泳ぎ戻った青年は愕然とする。その人物は男だったのだ!盗品とおぼしき大きなルビーを腹部に隠していた男は、よく見るとやはり美しい女にも見える。その男はいったい…。「リリオスの浜に流れついたもの」をはじめ、メキシコのキンタナ・ローを舞台にした美しくも奇妙な物語3篇を収録する連作集。世界幻想文学大賞受賞。

著者等紹介

ティプトリー,ジュニア,ジェイムズ[ティプトリー,ジュニア,ジェイムズ][Tiptree,Jr.,James]
『すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた』で、世界幻想文学大賞受賞

浅倉久志[アサクラヒサシ]
1930年生、1950年大阪外国語大学卒、英米文学翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

星落秋風五丈原

28
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの別荘があるキンタナ・ローを舞台にグリンゴと呼ばれるアメリカ人を語り手に編まれた短編集3編。米国文明が入ってきて既存の文明が淘汰される中で最後の砦ともいうべき海から不思議がやって来る。2020/06/08

くさてる

23
美しいなあ、と。まぼろし。海。珊瑚。消えてしまったひと。波の泡と死人。そんなものがゆらめくようにたちのぼってまた消えていく過程を物語にした作品が4編収録されています。「水上スキーで永遠をめざした若者」がひときわ切なくて、でも、美しい一篇で、個人的にはいちばんお気に入りです。2015/01/10

有理数

19
なんとこれが初ティプトリー・ジュニアです。邦題が素敵ですね。キンタナ・ローの海を舞台にした奇妙な物語集。世界幻想文学大賞。SFというより幻想文学で、そして幻想文学というより怪談、でも怪談というよりSFかなこれ、と堂々巡りを始めてしまうようなボーダーレスな書き振り。しかしどれもが共通の舞台。「海」というものの雄大さ、怖さ、不可思議さ、懐の深さ。想像力を押し広げる幻惑的なフェイドアウトが染みる佳品が並んでいます。面白かった! 2017/11/12

hit4papa

15
ユカタン半島キンタナ・ロー州を舞台とした3つの連作短編からなる海洋幻想小説です。幻想的なフワフワ感に、現実のやるせなさを混ぜ込んだような作品になっています。

ふりや

13
メキシコのユカタン半島、キンタナ・ロー州を舞台にした3つの作品。ティプトリーにしては珍しく、SFではなく幻想的でマジックリアリズム的な筆致で描かれています。実際、ハヤカワから出ているティプトリーの作品で唯一FT(ファンタジー)に分類されている作品でもあります。どの作品も、キンタナ・ローの海に関する不思議で怪奇的な出来事が描かれており、語り手の「わたし」や、出会った人たちの体験が語られます。ティプトリーのSFではない作品というのがとても新鮮で、まったく違う雰囲気。短めの作品なのでサクッと読める良作です。2022/03/24

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