内容説明
「狼」と呼ばれるダイヤモンドを手にした瞬間、美貌の青年ダニエルの運命は変わった。満月が昇るたびに狼に変身し、殺戮を繰り返すようになったのだ。人間たちを血祭にあげながら、ダニエルはダイヤに導かれるように故郷の村へと舞い戻る。懐かしい地で出会ったのは焔のごとく赤い髪の美しい女。ダニエルと女はダイヤの魔力の命ずるままに激しい恋に落ちた…ファンタジイ界の女王が贈る華麗なるロマンティック・ホラー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
9
普通男性2人に女性1人とくれば、女性を巡って男性が…なのに、なるほどこの話は人狼のダニエルに女性と男性が惹かれるという三角関係に。いずれも美しいのがポイント。それにしてもハイぺリオンって貴族の名前じゃないと思うが。2014/09/27
あ げ こ
8
淡く、幸せなお伽話に収まる事を拒むかのように。物語は鮮やかに落ちて行く。夜へ、闇へ。己が身に宿る、数多くの幸福なお伽話の面影を塗り潰すかのように。物語は悠然と誤り続ける。無情にも、不都合にも。不穏だけを選択し続けて行く。噛み合わず、釣り合わず、その多くが不相応であり、不調和であった関係と交歓の数々。けれど調和こそが、相応である事こそが、破滅と同義であるが故に。歪なままである方がよかったのにと、遠い始まりの日々を、今では懐かしく思う。物語はどこまでも裏切り続けるが故に。何よりも美しく、免れ得ぬ破滅を目指し。2017/03/09
ユキモリ
5
再読。タニス・リー的耽美な道具立ては揃っているものの、殺伐さの方に傾いていいて心が荒む。人の持つ悪意や昏い感情が噴出したものがあの不気味で醜い獣になるのだろうか。金髪金眼の美青年ダニエルを雪原を疾走する銀狼にしなかったことが尚更救いのない話を強調しているようだった。彼はロマンスの相手の赤毛の美女より、彼女の夫と醸し出す雰囲気の方が好み。2014/04/23
桃柳
2
ローラとハイペリオンの噛み合わない夫婦関係も、ダニエルの落ち着きも、何もかもが不気味。 誰一人激昂する者はいないのに、静かに確実に全員が破滅へ向かって行く。恐怖、というかぞっとした読後感。2019/06/02
ゆっか
2
ジェネヴィア、ダニエル、ローラが持つ悪意は恐ろしく、それでいてとても魅力的2011/09/08