ハヤカワ文庫<br> ゴルゴン―幻獣夜話

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ハヤカワ文庫
ゴルゴン―幻獣夜話

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  • サイズ 文庫判/ページ数 399p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784150202170
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

ギリシアの海に浮かぶ緑したたる孤島には、見る者を石に変える伝説の妖女ゴルゴンが住むと人はいう。その噂に魅せられて、真偽を確かめるために島に渡った若き作家が出会ったものは…。世界幻想文学大賞に輝いた表題作「ゴルゴン」をはじめ、人狼、ユニコーン、猫、海豹、ドラゴンなど、さまざまな幻獣たちをテーマに、ファンタジイ界の女王リーが奔放な想像力と千変万化の語り口で織り上げる、めくるめく幻想短篇集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さつき

65
人狼やユニコーン、ドラゴンなど様々な幻獣が登場する短編集。古代ローマや中世から現代、SF風など舞台もバリエーション豊か。どの話しを読んでも、愛の不条理、人生の皮肉を感じさせられますが、読後感は不思議と悪くないです。いかにもな幻獣よりも、猫や兎など本来可愛い動物の物語の方が怖かったです。2019/08/16

ヴェルナーの日記

52
著者タニス・リーは、ファンタジー小説の第一人者のひとりであり、多作な作家で中篇・短編小説を得意とする。本篇は、幻獣というモチーフをもとに、11篇の物語が編まれ、彼女の個性(彼女の世界観)が、遺憾なく発揮された1冊といえよう。リーの作品群は、彼女独特の世界観があって、流暢な筆致と美しく彩られた物語が、叙事詩的な感性を呼び起こすものが多い。作品ごとに筆致を変えているが、どれも彼女の個性が色濃くにじみ出ているので、読者によって好みが大きく分かれると思う。2015/04/19

ニミッツクラス

26
96年(平成8年)の税抜621円のFT文庫初版。85年の短編集の全訳で11編を収録。著者真骨頂の幻想耽美…と言うほどでも無いビターなアダルトファンタシー。カバーは表題作のイメージだが絵面に騙されてはいけない。陳腐なゴルゴン神話がリーの包丁さばきで似て非なる奇譚となって思わず唸る。本書には単純に面白い話も幾つか入っている…「猿のよろめき」は気弱青年の装備無しのRPG的冒険なりゆき譚。9話目の「ナゴじるし」は地球のネコのような異星ペットの話で、原題の” Quatt-Sup”はスラングなのかな? ★★★★☆☆2023/10/17

あ げ こ

13
それらは紛れ込んでいる。それらは潜んでいる。それらは原始より存在している。それらは自在に姿を変える。それらは夜に煌めく。それらは闇に映える。それらは容易く入り込む。それらは容易く奪う。それらは容易く人を魅了する。それらは容易く人を狂わせる。何ておぞましくて醜悪な。何て美しくて蠱惑的な。何て悲しくて深遠な。出会ってしまえばもう、戻る事は出来ない。逃げ出す事は出来ない。抗うほかない。愚かしくても、惨めでも。懸命に。対峙するほかない。深入りする前に。交わる前に。溺れてしまう前に。残酷で甘美な破滅へと達する前に。2018/09/15

あ げ こ

12
大変いい。何と贅沢な。至福の時。存分に享受する。魔性を秘する言葉の数々。世界はかくも美しく、残酷で、魅惑に満ちたものと成り得るのか。感嘆。何もかもが物語を持つ。哀しみを、歓喜を照らすよう、巧妙に埋め込まれた何もかもが。遭遇、或いは変貌と言った瞬間の緊迫感。凄まじい。息を飲む。魅入る。圧倒的な存在感に。重厚な静寂。そのもののために、すべてが沈黙する。暗色に煌めく濃艶な光。そのもののために、すべてが色褪せる。陶酔。覚める事なく広がる、幻想の深さ。迷い込んだものを、決して逃しはしない。決して離しはしない。2016/05/05

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