内容説明
かつてこの世が平らかなりし頃、妖魔の王アズュラーンは一時の気晴らしに人間の娘と交わって女児をもうけた。この妖魔の一人娘アズュリアズは長じてアズュラーンの宿敵、惑乱の公子チャズと恋に落ちた。もちろん、これを許すアズュラーンではない。妖魔の王の怒りを逃れて幾世紀も人界をさまよう恋する二人。時には離れ離れになり、また時には姿形を変え、人間として生きるすべを求めながら…。アズュリアズとチャズの狂乱の恋、および妖魔の眷属の魔法にふれた人間の愛と死の戯れを語った、傑作『熱夢の女王』外伝とも称すべき連作短篇集。
目次
夜の娘、昼の望み
夜の子ら
放蕩息子
月のドゥーニヴェ
薔薇のごとく黒く
戯れる者
魔法使いの娘
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ユキモリ
5
平らな地球シリーズの「熱夢の女王」外伝。千一夜物語、真夏の夜の夢、デカメロン、ほらふき男爵等々を思わせる変幻自在のファンタジー短編集で面白く読んだ。特に最後の「魔法使いの娘」ではアズュラーンとチャズの物語が美しくも切なく収斂されていて、この終幕には思わず胸が熱くなった。2014/05/19
machi
4
これで平たい地球は全部読んだ。といってもこれは本編のスピンオフのような感じ。1つだけ疑問。鷲の頭の怪物を見ただけで死ぬもんでしょうか。しかもけっこういい性格の女の人たちばかりなのに。2010/10/12
hana
1
あ~活字追うの疲れた。2015/09/23
mjn_srg
1
ゆっくりと時間をかけて読了。以前読んだ四作は神話のような秘めたものを感じられたが、「妖魔の戯れ」では民話、または寓話のようで、あえて言えば(一つの作品を除き)物語の視界が下がっている。だがそのために話そのものがユーモアのセンスを感じさせるような、いわば「面白い」ものに仕上がっているように思えた。だがリー特有の華美で豪奢な文体は健在していて、話を楽しむも雰囲気を楽しむのも由という作品。2012/09/30
冬薔薇
1
ファンタジー、童話、このシリーズしか読んでないがやはり好みの世界。言葉の表現が素敵。「魔法使いの娘」の中に「世に意味のあるものなどござりましょうや?」「肉体は塵、人生は現ならぬ幻想、戯れに過ぎぬのでござりますよ」とあるのが響く。2011/02/28