内容説明
この風光明媚な湖には何かがある。夜ごと水面を這う七色の怪異な色彩、生長過剰な動植物たち。あまつさえ、この湖で泳くと生気が吸いとられていく。この異変に逸早く気づいたのが二人の老学者。彼らは湖の監視員はもとより、付近のキャンプ場の人々にも事の重大さを説いてまわるが、耳を貸す者は誰一人いない。そうこうするうちに、ついに湖の犠牲者が出始めた。老学者たちは事の真相を究明すべく、ラヴクラウトと交流のあった画家を訪れるが…。ラヴクラフトの名篇「異次元の色彩」を現代に甦らせたコズミック・ホラー・ファンタジィ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sin
64
再読:ラヴクラフト『異次元の色彩』の後日譚…原作をリスペクトするあまり、原作の持つ勿体ぶった進行がそのままで、もどかしく感じる。そして原作を読み終えた後に誰もが抱くであろう疑問に答えた形ではあるが、原作の持つコズミック・ホラーの雰囲気をエンターテイメントに感じさせてしまうこのストーリーは蛇足と言い切ってしまっていいだろう。但し、見方を変えるならば本作は直截にB級ホラーであることに好感が持てる。2015/10/05
いいほんさがそ@蔵書の再整理中【0.00%完了】
2
**ネタバレ**ラヴクラウトの『宇宙からの色』のオマージュ小説。時が経ち、湖となったあの場所が再び「色」の脅威にさらされる。復活した「色」に気付いた老学者二人と昔の惨劇から復讐を誓っていた女性が力を合わせて戦うというB級ホラーもの。個人的な考えですが"理解不能な存在"であるクトゥルーの怪異は人類などを歯牙にも掛けず、その能力の一部を発揮して、たまたまそこにいた人類が右往左往する。という不文律が存在すると思うが、この作品では「色」に明かな悪意があり、それがあまりにも人間らしさを感じさせてしまっていた。2012/04/02
カム・ウィズ・アス
1
登場人物たちのセリフ回しが大仰で、モノクロホラー映画を見ているような微笑ましさ。しかし時代設定はおそらく八十年代。ストーリーはかなりゲームっぽくもあり、「クトゥルフの呼び声」をプレイしたあとのリプレイ小説なんじゃないかという気さえしてくる。「時間」とか関係ないモンスターホラー。2013/10/14
金木犀
0
FT135 1990.2初版