ハヤカワ文庫<br> アヴァロンの霧〈1〉異教の女王

ハヤカワ文庫
アヴァロンの霧〈1〉異教の女王

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  • サイズ 文庫判/ページ数 469p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784150201104
  • NDC分類 933

内容説明

時は5世紀。ブリテンはキリスト教とドルイド教の二つの世界に分裂し始めていた。このままでは、蛮族の相次ぐ侵攻を食い止めることもかなわない。この窮状を切りぬけるにはまず、相異なる二つの宗教が共存できる統一されたブリテンを造り、指導する人物が必要だった。そこで聖なる島アヴァロンの女王と魔法使いマーリンは、ブリテンの運命を担うべき人物の両親として女王の妹とウーゼル王に白羽の矢を立てた。だが、女王の妹はすでに他の王と結婚していた…。妖姫モーゲンの視点からアーサー王伝説を語り直した超ベストセラー作品、遂に登場。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

電気羊

43
女性たちはただ白馬の騎士を待つだけの存在ではない。華々しい騎士物語の影で翻弄される女性たちを描いたアーサー王ファンタジー。囚われの姫は物語において古くから使われるモチーフで人間の深層心理に根付いた元型のひとつだ。だが現実には女性たちを囚えているのは悪い竜などではなく社会や男性たちだ。著者は卓越した手腕によってアーサー王伝説を女性たちの視点から語り直すことで社会や男性たちに囚われながらも自由であろうともがく女性たちの姿を明らかにしている。厳格なキリスト教の父なる神と奔放な古来の女神の対立も物語に彩りを加える2022/09/02

veri

10
冒頭から既に完成された世界観。この巻よりもずっとずっと前から物語が綴られ続けていたかのよう。人であることを捨てたヴィヴィアン、捨てきれないモーゲン。あくまでも唯の一人の女性であり続けるイグレインとモルゴース。アーサー王物語でありながら、全ては女性によって語られ作られていく。ある意味で女性賛美とも言えるのかもしれない。自分自身、アヴァロンの霧に捕らえられているかのような錯覚にも陥り、心は一見平穏でも波立っている。真の意味で頼るもののないモーゲンがどう生きていくのか。しっかりと続きを読まなくては。2015/12/02

てんてん(^^)/

9
アーサー王伝説をモーガン・ル・フェイの視点から描いたシリーズ。こういう変則的なものから読み始めると後々イメージを修正するのに苦労する羽目になりますが、とにかく、物語は滅びゆくものの悲しさと美しさを秘めて感動的です。特に土着信仰が、新しい宗教と価値観に理不尽に侵蝕されて行く様がなんとも切ない作品です。 (人生で影響を受けた100冊) https://bookmeter.com/events/73352020/03/17

megmog

4
アーサー王伝説を女性の登場人物の目線から描いたファンタジー。今までアーサー王の物語に触れたのはディズニー映画の王様の剣位だったので物語に着いて行くまで少し構えたけれど、88年翻訳の作品ながらストーリーも文章も読み易かった。ファンタジーっぽくない日常の風景と、何より登場人物が皆とても人間臭い。〈湖の貴婦人〉として登場するヴィヴィアン、妹のイグレイン、イグレインの娘モーゲン… それぞれが様々な形の愛や欲望に苦悩する姿が描かれていて、普段読むファンタジーより共感を含んで読んでいた気がする。2015/02/12

ちぇしゃ

4
ローマ・カトリック教会に対しての疑問や、日本人としての土着の宗教観、もやもやとしたものを抱えていた学生の頃、自分の嗜好を明確に方向付けた作品。 1巻だからか、まだ幾分かマイルドではありますが、アーサー王伝説のファンタジーのはずなのに、人間の弱さ、愚かさ、欲深さと愛情をわかりやすく書かれています。 ドロドロした話ですが、人間関係の描き方に嘘がなくてとても好きです。 絶版なのが悲しすぎる。

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