内容説明
かつて武芸と舞の双方に秀でた者は、チアリと呼ばれ敬われた。彼らはアラン諸国を旅して観る者すべてを想念の調和へと誘った。だが、時を経るにつれて諸都市の平安を守るため、刃のついた武器の使用は兵士以外の者には不可となった。その結果、大半のチアリは何処へかと姿を消していった…。そして数十年後、南の地〈三角州のキーンドラ〉で密かに禁令を冒して、舞と短剣の武芸を教える道場が現われた。そんな不穏な空気が漂う折、奴隷の少女ソーレンは昼夜同じ幻視にとりつかれていた―時は冬、野と川、そして高い塔のある〈郭〉に…。