感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えりか
22
タイトル買い。ガラスびんの中には色とりどりのキャンディが詰まってた。ほんのり甘いピンク色だったり、クスッとさせる黄色だったり、毒々しい紫色だったり、悲しい青色だったり。一粒一粒は小さいけれど、どれも美味しくって満足。こういうの大好き。ひねると水色のドレスをだす蛇口、素敵な夢を見せてくれる純金のフォーク、音を出すと割れてしまうガラスの鈴、インク壺から飛び出る蛙さん、引退した妖精さん、子供が欲しい魔女、優しくてあったかいサンタさん。夢のような可愛らしいお話も多くて、童話好きさんにはオススメ。2015/10/31
Ribes triste
11
ガラスびんに詰められたキャンディーのようなおとぎばなしたちは、すこしひねくれていて、美しくも優しく、残酷で哀しいけれど、どこかほんのりとあたたかい。飯田さんのさし絵も素敵でした。2020/01/21
mayuri(Toli)
5
初期のハヤカワFTはやっぱり大好きです。短編童話集で、お話自体は、現代的なフェアリー・テールといったところ。美しく透明でありながら、残酷でシュール。でもわたしは大好きです。好き嫌いの分かれる作風だと思いますが、所々の文章や情景のハッとさせられるような美しさには、一読の価値があると思います。やっぱり創作童話って好きです。独特の美しさと良さがありますよね。すごくイメージを喚起されるので、そういう意味ですごく純粋なファンタジー小説だと思うのです。 2014/06/03
kurumi
3
ちょっとダークで、危うさもあるメルヘンな短編集。全体の短編を通して見えてくるのは、なにかを強く願い、それをものにしたい、反発されればされる程抗いたいという強い意思であった。ガラスびんの中に詰まっていたのは、どこか遠い国に住む誰かの願いを固めた結晶であり、キラキラと輝いて私たちを魅了する。クセは強めだが、面白いだけでなく、あとがきに書かれた著者の意図を読み解く深い作品でもあるので、満足度の高い短編集である事は間違いない。2022/04/23
斑入り山吹
2
なんだい、こりゃ!!?ずきずきする話だった。すんなり楽しむというわけにはいかない話。 読んで思い出したのが、マルセル・エーメ『猫が耳のうしろをなでるとき』。ちょっとエーメの方が早いのかな?この時期のフランスってこういう感じだったのかな。 「~そうだわ!霜でこしらえた下着なんてどうかしら?すてき!霜の下着なんか着たら、わたし、きっと、すばらしくきれいに見えましてよ。コロンバン、あなた、気が狂いそうなくらいわたくしのこと好きになると思いますわ」2015/06/17