内容説明
時は32世紀。プレアデス連邦の権力者ローク・フォン・レイは、仇敵プリンス・レッドを破滅の淵に追いこむべく、途方もない冒険に乗りだした。希少な超エネルギー資源イリュリオンを短時間に大量に採取しようというのだ。だが銀河広しといえど、それが可能な場所はただひとつ―大爆発をおこしノヴァになる瞬間の恒星の中心部だけだった!華麗な神話的宇宙を織りあげ、現代SFの頂点をきわめたディレイニーの最高傑作。
著者等紹介
伊藤典夫[イトウノリオ]
1942年生、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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小太郎
28
積読本発掘。読んだはずだよなと思いながら再読。ありゃ全然覚えてないや~と大きく落ち込みました。調べてみると12年前に読んでました。サミュエル・R・ディレイニーといえば何と言っても70年代ニューウエーブの旗手と呼ばれて随分人気があった筈、「アインシュタイン交差点」はよく覚えていますが「バベル17」などは辛うじて記憶の隅に(汗)。この本は主人公ロークが仇敵に勝つために超エネルギーを採取しにノヴァの中心へ赴くというスぺオペ仕立て、ただそこはディレイニー。色んなガジェットやメタファーが満載の一冊でした。 2022/10/07
けいちゃっぷ
14
どうにも波長が合わないSF作家というと、真っ先に思いつくのがル=グウィン、ゼラズニイ、ディレイニー。ニューウェーブの洗礼を受けたかは分からないが、多かれ少なかれ影響は受けているでしょうね。で、これがニュー・スペースオペラなのか?どんな作品でも読む時期やタイミングというのはきっとあるのだろう。遅かったんだな、読むのが。でもまあ、私にとってノヴァと言えば超新星爆発でもなく、もちろんこの本でもなく、ヘストン版『猿の惑星』のヒロインだが、それがどうしたと問われると言い返せない。446ページ 2014/12/09
duzzmundo
12
初ディレイニー。正直よくわからないところも多々あったけどなぜか飽きずに読めてなかなかおもしろかった。いろんなメタファーが散りばめられるらしいですが、そのへんはさっぱりわかりません。普通にノヴァを目指す船長とその仲間たち的なスペースオペラ感覚で読みました。とりあえずほかのディレイニー作品も読んでみようと思います。2020/09/13
河内 タッキー
11
変な感想だが、この小説を読んで、SFなのに抒情的、ノスタルジックというような、らしからぬ印象を持った。風景の描写がそう感じさせたのだろうか?E.E.スミスのレンズマンシリーズのような抽象画のような印象ではない。そんな世界観とイリュリオン採取という冒険譚と重なって、とてもいい読後感。2018/07/23
AR読書記録
7
『ダールグレン』に続くディレイニー体験、というわけで、わかるかなー読めるかなーと、けっこうどきどきしながら読んだのだけれど、ストーリーの大枠的にはわかりやすく読みやすい。が、その先はわかってないし、それがわからないと、あるいはわかるよう努力をしないと、もったいない作家とは言えるんだろう、ディレイニー。「アシュトン・クラークの思想」とそれに基づく労働との(世界との)繋がり方は興味深い。いつかは現実でも人間の感覚は拡張し世界とよりダイレクトに繋がるようになるだろうけど、そのときのことをわりと真剣に想像した。2015/03/22