内容説明
あるレストランで、暴漢に襲われた宇宙商人ハヴィランド・タフ。その襲撃者の星では、モーセを名乗る宗教的煽動家が“十戒”を模した環境戦争を仕掛けているという。その共謀者との疑惑を晴らすべく、宗教家と対決するタフを描く「わが名はモーセ」、トリー・ミューンがポートマスターを務める、慢性的な人口問題を抱えた惑星ス＝ウスラムに環境エンジニアリングを試みる「タフ再臨」他、全四篇を収録する連作集・完結篇。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アイゼナハ@灯れ松明の火
29
猫好きの環境エンジニア、タフの活躍を描く連作短編集後半戦！〈１〉から続く、テクノロジーに非常に優れるものの、宗教的な理由から人口膨張を押さえられず、遠からず悲惨な未来を迎える事が予測されるス=ウスラムを舞台にした連作が圧巻。神ではなく人として判断を下したトリー・ミューンは立派だけれど、本当にお気の毒…しかし全く他人事ではない事に背筋が寒くなります。自分がス=ウスラム人だったら、産児制限に賛成しているかしら？より都合のいい道があると言われて、その気になったりしないかしら？2011/08/12
miroku
22
発表年次による、タフの性格の微妙な違いが面白い。最後は重い結末。シリーズのラストらしい秀作。タフは面白い♪2012/08/01
Xiebet
18
タフのブラックでニヒルというかアイロニカルというような魅力的なキャラが◎選択しないという選択という切実な指摘にグッとくる。是非、続編が読みたいが、書いてくれるのかな？Game of Thrones の原作も終わってないし・・・2019/02/14
fukumasagami
18
タフは愛猫の黒い耳のうしろを掻き、静かに語りかけた。 「やれやれ、静寂のひとときを無粋にも破られたうえにー」深く響くバスの声には、ほとんど抑揚がない。「ー死を悼む気持ちを踏みにじられたあげく、誹謗中傷にも耐えねばならぬとはー」 そこでタフは、痩せぎすの男に目を向けて、 「さようで」といった。「手前はいかにも、ハヴィランド・タフ。動物を商うという点も、ある意味、あたってはおりましょう。しかしながら、動物商を名乗るのは少々忸怩たるものがございます。それよりもむしろ、環境工学技師とお呼びいただきたいところで」2016/11/03
アプネア
12
どれも面白い。「天の果実」が一番良かったかな。「天の果実」：「タフ再臨」から５年後、タフはローンの残金を支払うため、３度目の惑星ス=ウスラムを来訪。人口過剰問題はさらに悪化の一途をたどり、周辺の惑星国家と一触即発の状況に、もはや忍耐の限度も越え、根本的な問題解決を図るためタフの採った策はいかなるものか？・・・物語後半のトリ―・ミューンとタフとの丁々発止のやり取りは見物です。やっぱ問題の先送りや思考停止っていうのは悪手なんだよな～。2016/11/16
