内容説明
時間の中を自由に渡る緑の人を捜して、もう幾日もアリマンタンド博士は火星の砂漠を旅していた。風に船をさらわれ、移動の手段を失った博士は、小さなオアシスに留まることになる。やがてそこに徐々に人々が住み着き、「荒涼街道」と呼ばれる町に育ち、さまざまな驚異や奇跡を経て、ふたたび忽然と砂に還る…その半世紀にわたる物語を詩的な筆致で綴りあげ、『火星年代記』の感動を甦らせる、叙情と哀愁にみちた話題作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Small World
24
詩情あふれる内容かと思いきや、様々なSFのイメージやガジェットでごちゃごちゃしてます。でも、それを赤い砂漠のフィルターに通すことで、ひとつのクロニクルとしてまとめてるという傑作。登場人物ひとりひとりの終末まで描かれているので、時間はかかりますが読み応えは抜群です。物語中の第二世代たちが奔放過ぎて、みんながみんなすごすぎるww けっこう無茶なエピソードてんこ盛りなんですが、初めから結末は語られているので、ある意味、ぶれない結末に向かう姿が本書の醍醐味なんでしょうね。(SFが読みたい海外編1997第1位作品)2016/10/09
bowmorelover
12
「火星年代記」の感動を蘇らせる、叙情と哀愁にみちた作品。一つの街ができ、そして砂に還る。この哀愁がすごくいい。素晴らしい。2012/03/28
記憶喪失した男
11
文章が楽しい本。文章の上手さはハイペリオン級。2021/12/14
スターライト
11
物語の愉しみを味あわせてくれる作品。これが第一長篇とは思えない物語の作りとキャラクターの造形のうまさには、舌を巻く。年季のいったSF読みなら思わずニヤリとさせられるところも多々あるが、それに気付かなくても堪能できるので、読者はベツレヘム・アレス鉄道に身を任せればよい。小説好きなら、ぜひ読むべし。傑作。2012/11/26
けいちゃっぷ
9
テラフォーミングされた火星の、とある砂漠に一つの町(デソレイション・ロード)が生まれ発展したが半世紀後には消えてしまう。 この町に流れ着いた者、家族、その子供らの数奇な運命を、時にはSF寄りに時にはファンタジー寄りに描いてます。 章ごとに登場人物が代わり、面白いエピソードやら面白くないエピソードやらさまざまでしたが、まさに大河ドラマのような趣。 いささか疲れましたが、読みごたえは十二分。 551ページ 2014/06/17