ハヤカワ文庫<br> ヴァーミリオン・サンズ

ハヤカワ文庫
ヴァーミリオン・サンズ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 305p
  • 商品コード 9784150106911
  • NDC分類 933

内容説明

夢と狂気と倦怠に支配された砂漠のリゾート、ウァーミリオン・サンズには、詩人や芸術家、映画スターや富豪が群れつどう。彼らは、住人の心を反映して自在に姿を変える向心理性の家で暮らし、音響彫刻や歌う草花を愛好していた。晴れた日には、砂上ヨットで砂鰾狩りや雲の彫刻を見物にラグーン・ウエストへと出かける。そこではコーラルDの雲の彫刻師たちが、色とりどりのグライダーで飛びまわり、白い積雲に一角獣や美しい映画女優の肖像を刻んでいるのだ…。イギリスSF界の鬼才バラードが、エキゾティックなリゾートを舞台に奔放な想像力と華麗な筆致で描く連作短篇集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

sakadonohito

12
アリゾナの砂漠っぽい?架空のリゾート地を舞台にした短編集。言葉選びや設定が自分には合わなくとっつきにくく感じた。各話思い返してみると悪くなかったかもと感じるのでこの手のSFは合う合わないが激しく損しがちだと思う。2022/10/09

ニミッツクラス

9
86年の400円の文庫初版を読んだ。80年に同社の海外SFノヴェルズで出ている。本国では「残虐行為展覧会」の方が早いが、日本では数ヶ月の差で本書が先に出た。いわゆるヴァーミリオン・サンズ物を9編収録で、いわく言い難い彼の地での、住人や群れ集うちょっと突き抜けた人々の成り行き譚。屈託があるのか無いのか、行動には何の衒いも迷いも無い処が却って非日常的で末世的だ。5編は既に既刊の短編集に収録済みで、その内の「ヴィーナスはほほえむ」が旧作「モビル」の改作編となる。コーラルDには物語としての圧力がある。★★★★★☆2017/09/06

rinakko

8
好きなのよね、このシリーズ。てなわけで、やっと纏めて読めた。くうう、やっぱりいい…。例えば今回初めて読んだ「風にさよならをいおう」は、極端に感じやすい(!)活性織物によるドレスやらスーツ、ガウン…たちが狂乱に追い込まれて末枯れてしまう辺りの描写が、すこぶる面白くて印象深かった作品。そこからの話の内容もよかった。既読作の再読も楽しめたし、久しぶしのバラードを隅々まで堪能した。満足。2014/03/05

スターライト

7
バラードの創造した架空のリゾート地〈ヴァーミリオン・サンズ〉ものを集めた短篇集。他の短篇集に収められたものもあるので、いくつかは既読。シリーズ中屈指の好篇「コーラルDの雲の彫刻師」を巻頭に配して、つかみはOK。音楽や映画、詩に絵画など様々な芸術を素材に盛り込みながらも、人間の心理を深くえぐる作品群は印象的。ベストはやはり「コーラルD」かなあ。復刊を求める声がやまないのも納得の一冊。2011/07/14

マンハッタン距離

5
[4.2] 砂漠という断絶された舞台、超現実主義絵画のようなモチーフ、トラウマの再演が様々な形をとって繰り返される。初期作である「プリマ・ベラドンナ」は作家の教訓的ではない未来という意図とは反して寓意を見出しやすい旧来のSFの軛から逃れることに成功しているとはいえない。一方で、収録作全体が、超然とした魅力を持つヒロインを中心とした物語そのものが精神分析に根差す芸術作品であるような魅力を持つ。とはいえ、個々の作品を評価するよりも箱庭として高い評価をするほうが正当であるだろう。2016/08/13

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