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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミツ
21
『地球光(アースライト)』というタイトルに惹かれて。ハードSFの巨匠クラークによる月世界旅行案内にして、人類が史上初めて経験する宇宙戦争の事の顛末。1955年と人類がまだ月にも到達していない時代に書かれたにしてはあまりにリアルで、ありえそうな描写の数々にまず驚き。地球と惑星移民との資源を巡る軋轢が高まっていく過程も緊張感があり、同時に立場の違う各人の思いや葛藤も丁寧に描かれており、ドラマとしても面白い。そして肝心の戦闘シーンも圧巻で、無音の月面上で繰り広げられる壮絶な破壊のショーは是非映像でも観てみたい。2016/01/03
七色一味
14
読破。再読です。静止衛星軌道を唱えた、英国では王立天文学会にも席を置いていた自他ともに認める科学者でもあるクラークが、豊富な科学知識を元に、月世界を舞台としたスパイ作品。まぁ、この作品の楽しみとしては、月世界の天文台での活動でしょうか。2011/11/12
roughfractus02
11
作者唯一の戦争シーンがあるSFだという。ヒロシマから200年後、太陽系進出する人類は資源争奪を巡って地球と惑星連合の対立の中、惑星連合側に情報流出する原因を探ってスパイが月に向かう。そして雨の海での戦争が始まる。資源争奪を巡る戦争は10年前に集結した第二次大戦の対立構造を思わせ(1955年刊)、淡々とした戦闘描写はレーダーで映し出された月面図に想像力を働かせたような正確さゆえ(現在の月面図でも辿れる)アシモフ的サスペンスとは異なる。が、月で生まれ、重力の違いで地球に住めない少年が見る地球光の描写は詩的だ。2023/09/14
kinka
11
科学とイマジネーションを突き詰めると、幻想や詩情まで生み出すという、クラークのクラーク節全開の近未来SF。今は品切れ中かな、でもこれ品切れにしとくの惜しいなあ。確かに粗筋は安いスペースオペラだし、技術的描写も今となってはアナクロだし、翻訳はちょっと変だけど。でも、批判的かつ愛のある人間模様は古びないし、月を始めとする風景描写は美しく驚きに満ちている。いつまでも消えない残照に浮かび上がる炎のような山脈、光線も音も無いレーザー砲の撃ち合い(塵も重力も無いから)、月面から見る青緑の地球光…読みながら陶然とした。2015/11/04
ホレイシア
8
作品としては地味な方だが、印象的。2008/01/29