ハヤカワ文庫<br> 都市

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ハヤカワ文庫
都市

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  • サイズ 文庫判/ページ数 367p
  • 商品コード 9784150102050
  • NDC分類 933

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

MICK KICHI

88
人類がテクノロジーの恩恵を受け、飢えや争いから解放された世界。都市での社会生活を捨て、自然に囲まれ退廃的に暮らそうとする一方、太陽系まで到達しつつある一団は木星に寿命さえも超えたパラダイスを見出す。いつの日か地球すらも見捨てて旅立つ人類の後に残されたのは人工的に改造された犬とロボットであった...。幾万年の年代記を寓話的描いたシマックの代表作。30年ぶりに読んだが、そのイメージの氾濫に圧倒される。ウエブスター一族とその執事ロボットを通して語られる人間社会の排他性、暴力等に対するメッセージが込められた叙事詩2018/10/30

ふりや

19
その昔、地球には「人間」と呼ばれる生物が存在していたらしい。未来の地球で繁栄する高度な知性を持った犬たちは、謎めいた「人間」の伝説について研究し『都市』と題された一冊の本を編纂する。なぜ人間は地球からいなくなってしまったのか?なぜ犬たちはこれほどの知性を獲得することができたのか?そして長大な時間を人間や犬と共に過ごしてきたロボットたち。様々なアイデアを見事にまとめあげて犬の視点から語った壮大な犬SF。シマックは『中継ステーション』が大好きで他の作品も読んでみたかったのですが、本作も素晴らしい物語でした。2022/09/14

鐵太郎

17
この本を最初に読んでからもう40年以上。今回読み直した感想が前とほぼ同じなのが面白い。作者の紡ぎだす壮大で深遠な人間の未来への思いと同時に、はなはだ失礼だが、なんとも虚無的で後ろ向きでちっぽけな「箱庭世界」。人間をこれほど少なくしか描けない未来史って、どうなのかな。最後の蟻の巣への思いは、作者はなにから逃げたいのだろうと空しく思うばかり。戦えばいいってもんじゃないとは思うけど、諦めばかりではねぇ。2018/11/15

kochi

12
火があかあかと燃え北風がふきすさぶとき、炉ばたにつどい昔話をせがむ仔犬たちに語られた「人間」の物語。人間とは全く違う文明を作り上げた犬たちやロボットなどが登場する1万年以上にわたる大河ドラマ。犬の文明が発展する時に大きな関わりを持った人間の文化やロボットの影響など、よく練られた流石の国際幻想文学賞受賞作品だが、言葉を自由に操り、ロボットを使いこなし、時空の秘密も手に入れながら、蚤に悩まされているワンちゃんたちのかわいさ!また、地球を捨てて新しい世界へ進出する人類の動機がある意味、素晴らしすぎる。2020/11/26

hikarunoir

10
人類は去り神話的存在と化した遠未来、犬の知性進化の縁となる人工知能を僅かな遺産とし世から後退したランダムな回想や憶測。ウエルベックへの影響。2023/02/11

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