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内容説明
あまりにもおぞましくあまりにも崇高な…。あの体験の日々、そして戦後の終わりなき旅。希望をこえて、生還者たちは、いま日本のフォトジャーナリストに語りはじめた。
目次
1 新しい病い、強制収容所症候群(再訪、20号館伝染病棟;SSに殺される夢;子ども専用の収容所)
2 強制収容所体験(理由なき虐殺と「運」のよかった人々;特別の囚人;人体実験)
3 収容所で結ばれた2人
4 逃亡と抵抗(「死の行進」中の逃亡;初対面の女性に助けられて;血で手紙を書く;ワルシャワ・ゲットー蜂起の生き残り;ユダヤ人であることを隠し通す)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kogoty
2
経験者たちへの聞き取りが執拗とも思えるほどに綴られる。かといって経験談を元に強制収容所の非人道性を追及する目的での本とも思えず、著者の意図は一体どこにあるのだろうと、わからないことが苦しくて途中読むのをやめたくなった。戦後すでに40年経過(当時)しているにも関わらず、心身ともにかつての理不尽な暴力による影響から抜け出せない苦しみ。それらを十把一絡げで語らないために、その一つ一つが(原因は同じでも)個別の苦しみなのだとということを、記したかったのかなと思う。2016/03/11
k_
2
強制収容所から運よく生き延びたひとたちは、精神的後遺症に悩んでいる。後遺症は子、孫へと影響を与えている。ポーランド人、ユダヤ人であるだけで、理由もなく殺され、家畜以下の扱いを受けた。しかし「ドイツ人を恨んではいない、悪いのは政治だ」「戦争がおわっていちばんしたかったのはドイツ人に唾を吐くこと。けれど理性をもって接している」だが「戦後初めて汽車でドイツを通過しなければならなかったとき、ずっと目を閉じていた」。2011/08/15
アルクシ・ガイ
0
迫力のインタビュー。でもちょっと斜めから。孫の疳の虫まで、収容所の後遺症にするってどうだろう。それほど心の傷が深いのだとも言える。あるいはほかに心当たりがないのならば、ポーランドってのは、ずいぶんゆったりした国なんだなとも思った。イスラエルが国民皆兵にこだわるのはうなずける。あの時もしナチスに対抗するだけの力があったら……そんな歯ぎしりが伝わってきた。2015/06/05