感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takao
4
ふむ2023/12/05
海狸香
0
二百頁足らずの小著でありながら、キリスト教のみならず、ユダヤ教、イスラム教の聖典でもある旧約聖書を平易に解説した良書。世界で最も影響力のある古典を学ぶという教養主義的な関心だけでなく、時を越えて人々の心をとらえてきた魅力を教えてくれる。予言者は孤独で反体制的であったとする第三章が秀逸。宗教国家の腐敗を糾弾する政治的な存在だった。旧約は西洋文学にも多く引用されるが、詩編の死の陰の谷に堀辰雄の「風立ちぬ」を思った日本人も多いだろう。晩年を迎えた老牧師の個人的体験や社会時評も顔を出す。2020/03/30