出版社内容情報
生きものの歴史をたどる生物地理学――最新の遺伝子やDNAの解析から、ヒグマやハクビシンなど哺乳類の進化や生態に迫る。
目次
第1章 生物地理学とはなにか―系統地理学への発展
第2章 進化の生物地理学―適応と種分化
第3章 境界線の生物地理学―ブラキストン線とヒグマ
第4章 固有種の生物地理学―イタチ科の動物
第5章 ミクロの生物地理学―糞の生物学
第6章 都市動物の生物地理学―キツネとタヌキ
第7章 外来種の生物地理学―ハクビシン
第8章 生物地理学の課題―過去・現在・未来
著者等紹介
増田隆一[マスダリュウイチ]
1960年岐阜県関市に生まれる。1989年北海道大学大学院理学研究科博士後期課程動物学専攻修了。アメリカ国立がん研究所研究員、北海道大学助手、助教授、准教授を経て、北海道大学大学院理学研究院教授(附属ゲノムダイナミクス研究センター長兼任)、理学博士。専門、動物地理学・分子系統進化学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yamakujira
7
「生物地理学」とは耳慣れない言葉だが、要はどこにどんな生物が棲んでいるかという学問らしい。それは、生態学、形態学、分類学などと関わるから、けっこう奥が深い。とくに本書で紹介される最新のDNA解析は動物学に大きな変化をもたらしそうだ。チョウセンイタチの亜種にされたニホンイタチが独立種として確立されたり、ホッキョクグマがヒグマの亜種と呼べるほど近縁だったり、そして在来種であってほしかったハクビシンが外来種だと認めざるをえなかったり、さらには糞から個体識別ができるなんて、驚くばかりだった。 (★★★★☆)2017/08/03
やご
1
生物地理学とは何か。本書第1章の説明によれば、生物の種の分布や種の集団の移動の歴史を探求する学問分野とのことです。進化による環境への適応と分化、地理的な境界のよって異なる分布、固有種、糞を始めとする動物の痕跡を利用した分析、都市動物、外来種、この学問分野の課題、といったテーマが各章に並んでいます。著者は実際に動物地理学を専門とする北海道大学の教授です。(続く)→ https://gok.0j0.jp/nissi/1368.htm2023/01/11
くろじら
1
著者がこれまでに行ってきた日本の哺乳類の分子系統地理の研究をまとめた本。主に食肉目を対象にいろいろなことを研究しているので、なかなか面白い。2018/03/24