出版社内容情報
自然科学を中心とした近代知の再考から近年のゲノム研究の成果からまで、〈人種という知〉の歴史と現在を問い直す。人種主義は無知の所産ではなく,科学を含む知こそが人種主義を駆動してきたとはいえないか.近代知における考古学・人類学・医療の再考から,最近のゲノム研究がこんにち私たちに要求するヒトの差異の認識の現在まで,〈人種という知〉の歴史と現在を問う.
序章 科学研究と人種概念 ――人種・民族・人種主義(坂野 徹)
第I部 自然人類学・考古学と人種研究
1章 「縄文人」と「弥生人」――日本考古学にとって「人種」とは何か(坂野 徹)
2章 フランスにおける形質人類学の変遷史――19世紀末からの人種科学をめぐって(キャロル・レノー=パリゴ/小林新樹,アルノ・ナンタ訳)
3章 人種主義と科学者の「中立性」――アンリ・ヴァロワの活動を中心に(アルノ・ナンタ)
第II部 人種研究とマイノリティ
4章 賀川豊彦の社会事業と科学的人種主義――近代日本における〈内なる他者〉をめぐる認識と実践(関口 寛)
5章 インドにおける血液,贈与,共同体――有徴化と匿名化のはざまで(石井美保)
6章 規律と欲望のクリオン島――フィリピンにおけるアメリカの公衆衛生とハンセン病者(日下 渉)
第III部 「人種」とゲノム研究の現在
7章 ゲノム情報にもとづく人類学にとっての集団(太田博樹)
8章 皮膚色と頭蓋骨形態からみたヒトの多様性(瀬口典子,ライアン・シュミット)
9章 医薬品規制の最前線における人種とその表象――日本人の「身体的差異」をめぐる国際論争から(郭文華/加藤茂生訳)
10章 日本におけるゲノム研究と集団の表象――座談会(太田博樹・加藤和人・竹沢泰子・徳永勝士)
索引(事項・人名)
筆者・訳者紹介
Dismantling the Race Myth
Volume 2, Knowledge: Between Science and Society
Toru SAKANO and Yasuko TAKEZAWA, editors
坂野 徹[サカノ トオル]
坂野 徹
坂野 徹:日本大学経済学部教授
竹沢 泰子[タケザワ ヤスコ]
竹沢 泰子
竹沢泰子:京都大学人文科学研究所教授
目次
科学研究と人種概念―人種・民族・人種主義
第1部 自然人類学・考古学と人種研究(「縄文人」と「弥生人」―日本考古学にとって「人種」とは何か;フランスにおける形質人類学の変遷史―一九世紀末からの人種科学をめぐって;人種主義と科学者の「中立性」―アンリ・ヴァロワの活動を中心に)
第2部 人種研究とマイノリティ(賀川豊彦の社会事業と科学的人種主義―近代日本における“内なる他者”をめぐる認識と実践;インドにおける血液、贈与、共同体―有徴化と匿名化のはざまで;規律と欲望のクリオン島―フィリピンにおけるアメリカの公衆衛生とハンセン病者)
第3部 「人種」とゲノム研究の現在(ゲノム情報にもとづく人類学にとっての集団;皮膚色と頭蓋骨形態からみたヒトの多様性;医薬品規制の最前線における人種とその表象―日本人の「身体的差異」をめぐる国際論争から;日本におけるゲノム研究と集団の表象―座談会)
著者等紹介
坂野徹[サカノトオル]
日本大学経済学部教授。科学史、フィールドワーク史。東京大学大学院理学系研究科科学史・科学基礎論博士課程単位取得退学(学術博士)
竹沢泰子[タケザワヤスコ]
京都大学人文科学研究所教授。文化人類学。アメリカ研究。ワシントン大学大学院人類学科Ph.D.(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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