出版社内容情報
金融グローバリズムの大合唱の中で,それによって劣勢を余儀なくされている「ナショナルなもの」(たとえば日本型金融システム)との相互作用(収斂と反発)が,どのように推移していくのかという共通の問題群に対して,さまざまな視角から,その解に鋭く迫る.
内容説明
本書では、まず、世界を闊歩する金融グローバリゼーションという波に乗って、世界を席巻するアメリカ的、あるいはアングロサクソン的な思考様式に着目する。そして、その特徴づけと、「在来的なるもの」との調整ということを視座に据え、現代世界に共通する問題に迫っている。換言すれば、金融グローバリズムという金融世界を席巻する支配的思考様式のなかで、各地の「ローカルなもの」、各地の「ナショナルなもの」はどのようなインパクトを享受しながら、どのような変質を余儀なくされているのかを、事実に基づいて考えてみる。
目次
1 論争・金融グローバリズム
2 日米独の金融構造と銀行業
3 アジア危機とは何であったのか―多様性とグローバリズムの相剋と共存
4 「格付け」の思想:リスクのない社会とリスク社会
5 ニューヨーク証券取引所の国際化について
6 ベンチャー企業向け証券市場間競争のグローバル展開と成長企業の輩出―わが国新規店頭公開企業の長期株価パフォーマンス分析
7 ユーロの挑戦と成算
8 日本の金融統合・合併の成算―米・欧との比較検証
9 日本の地価問題と日本型金融システム
著者等紹介
中尾茂夫[ナカオシゲオ]
大阪市立大学経済研究所教授
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