出版社内容情報
「朝鮮儒学史」とは何だったのか.その答えは長い間歪められたままである.本書は,17世紀以降の朝鮮儒学の歴史を,その時代を生きた儒者の経書解釈や思考の枠組,そして彼らの信念に肉薄することを通して捉え直す.「東アジア」の視野のもと,朝鮮儒学史を通説から解き放つ労作.
目次
第1章 二十世紀初頭、「東アジア」の誕生(儒学史への関心;十七世紀への注目)
第2章 十七世紀儒者世界の様相(朝鮮の士大夫社会;共鳴できない日韓の儒者)
第3章 儒者たちの信念(朝鮮儒者社会の思想的基礎;新たな経書注釈の登場に際して)
第4章 朝鮮儒学史展開のかなめ(朱子学研鑽;朝鮮儒学の創見提出パターン;新たな解釈―その意義付け)
第5章 東アジアの中の朝鮮儒学史(観点の転換;東アジアから見つめる)
著者等紹介
姜智恩[カンジウン]
1970年韓国生まれ。1993年高麗大学校文科大学漢文学科卒業。2003年同大学大学院国語国文学科修士課程修了。2013年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了(文学博士)。現在、台湾大学国家発展研究所助理教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きさらぎ
8
「朱子学にどれだけ敢然と異を唱えたかを学者の評価の基準にするのはそろそろやめませんか。朱子学に異を唱えたから<進歩的・開明的>だと評価されていた学者のほとんどは忠実な朱子学者で、朱子の真意を彼らなりに読み解こうとしているだけですよ」著者が懇々と語る内容は恐らくこれに尽きる、とまとめると言い過ぎ。この本だけを読むと正直「で?」という感情だけが残るのかもしれない。ただ朝鮮儒学史を少しだけ勉強してから本書を読んだ印象は、本当に朝鮮という国はしんどい、という思いだ。『朝鮮儒教の二千年』辺りと併読を勧めたい。2019/07/30