出版社内容情報
大戦期,重光外相の下で推進された大東亜新政策--ビルマ・フィリピンに対する独立許与,仏印解放--の意義を重視,アジア外交の形成と展開を明らかにし,日本の戦争目的とされた「民族解放」が政策的にどのような意味をもっていたかを検証. 吉田茂賞受賞
目次
第1章 対米英蘭開戦と戦争終結構想
第2章 「西アジア」進攻をめぐる政治的攻防
第3章 「大東亜建設」と大東亜省
第4章 「対支新政策」の展開
第5章 ビルマとフィリピンの「独立」
第6章 「大東亜政略指導大綱」と日華同盟条約
第7章 大東亜会議と共同宣言
第8章 大東亜宣言の波紋
第9章 重光外相と「大東亜外交」―インドネシアと仏印
第10章 戦時外交におけるソ連と中国
終章 重光葵と戦時外交
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
わび
3
再読。外務省と軍の対抗関係を中心に、アジアの占領地域を日本がどう取り扱ったかの分析。重光の下、外務省は南京政府に権益を返還し、一部の東南アジア地域に独立を付与し、一つの頂点として大東亜会議を主催するが、それらは大西洋憲章と調和する精神を示すことで和平への道を地ならしし、さらには敗戦後を見据えた弁明の意図が込められていたことを見事な実証で示す。とはいえ、軍の目標に妥協する中で実体はひどく曖昧なものに成らざるを得なかったし、そうした論理こそが太平洋戦争が解放戦争であったという認識に一役買ったという指摘は重い。2020/09/06
Degawa
0
タイが両天秤のずる賢い国だというのは昔から変わらないなぁと思った2014/05/21