日ロ関係史―パラレル・ヒストリーの挑戦

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  • サイズ A5判/ページ数 713,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784130262651
  • NDC分類 319.103
  • Cコード C3020

出版社内容情報

日露戦争から、シベリア抑留問題、北方領土問題まで、紛争・不信・敵対と和解・信頼・友好の250年を両国の歴史家が描き出す。

日米関係より長い歴史をもつ日ロ関係.日露戦争から,日ソ戦争,シベリア抑留問題,北方領土問題まで,双方の見解の違いを含め,紛争・不信・敵対と和解・信頼・友好の250年を両国の歴史家が描き出す.日ロ同時出版.

読者の皆様へ1(五百旗頭眞)
読者の皆様へ2(A・V・トルクノフ)

I 一九世紀末までの両国関係
 第1章 一八?一九世紀の遺産――日本型華夷秩序から西洋型国際秩序へ(生田美智子)
  一 西洋型国際秩序との遭遇と葛藤
  二 西洋型国際秩序との激突とその解消
  三 西洋型国際秩序との併存からそれへの移行へ
  四 西洋型国際秩序への加入をめざして
 第2章 一八?一九世紀の露日関係(グリシャチョフ)
  一 日本の鎖国とロシアの南下
  二 ラクスマンとレザノフの使節
  三 プチャーチン使節と下田条約
  四 幕末・明治初期の国境諸条約

II 世紀転換期の相互イメージ
 第3章 日ロにおけるナショナリズムと初期相互イメージの共起的生成――同時代人二葉亭四迷とチェーホフの言説をてがかりに(木村 崇)
  一 日ロ関係転換点としての千島・樺太交換条約(一八七五年)
  二 二葉亭四迷とチェーホフにとってのサハリン
  三 日ロ関係悪化スパイラルがもたらした日清戦争
 第4章 世紀転換期ロシアにおける日本のイメージ(ミハイロバ)
  一 日本イメージと外交政策
  二 芸術運動のヤポニズム
  三 黄禍論と聖なる戦争

III 日露戦争
 第5章 日露戦争の時代――衝突から講和まで(蓑原俊洋)
  一 日露衝突への道程――交渉による懸案妥結の模索と挫折
  二 戦争終結への道筋――講和会議をめぐる日露の攻防
  三 ポーツマス講和会議とその成果
 第6章 世紀転換期のロシアと日本――戦争と講和への道(ルコヤノフ)
  一 中国・朝鮮をめぐる対立の亢進
  二 対日外交政策の分散
  三 ポーツマス講和条約

IV 日露協商期
 第7章 ポーツマス講和条約後の日露関係――友好と猜疑のあいだで(黒沢文貴)
  一 帝国主義下の日露関係
  二 日露協調の深まり
 第8章 「例外的に友好な」露日関係(一九〇五?一六年)(ペストゥシコ&シュラートフ)
  一 露日戦争後の国際関係
  二 露日協商と勢力圏合意
  三 対米関係と協商悪化
  四 大戦開始で露日同盟へ

V 革命と干渉
 第9章 大戦と革命と干渉――在ロシア日本人ディアスポラの視点から(原 暉之)
  一 在ロシア日本人ディアスポラの興亡
  二 ロシア革命批判の急先鋒だった島田元太郎
  三 中堅企業家層の形成と日本人居留民会
  四 貿易と製造業から軍事用達に活動を広げた堀江直造
 第10章 ロシア東部における干渉への日本の参加(一九一七?二二年)(ダツィシェン&グリシャチョフ)
  一 米欧日の軍事干渉の開始
  二 日本の白衛派支援とコルチャーク政府
  三 コルチャーク政府の瓦解と極東共和国の成立
  四 尼港事件とその反響
  五 撤兵交渉の進展
  六 沿海州での白系政府の消滅と撤兵の完了

VI 1920年代
 第11章 政財界の反ソ・親ソ勢力(富田 武)
  一 シベリア出兵から日ソ国交へ
  二 漁業をめぐる日ソの対立と協調
  三 北樺太における日本利権企業
  四 満洲における日ソの対立
  五 日露協会の活動
  六 日本共産党の活動
 第12章 ソ連外交と対中・日関係(グリニューク&シュラートフ&ローシキナ)
  一 ソ日国交樹立への道程
  二 満洲権益と張作霖政権
  三 文化交流と後藤訪ソ

VII 1930年代
 第13章 日本の対ソ政策――日ソ不侵略条約問題を中心として(戸部良一)
  一 満州事変期の不侵略条約案
  二 不侵略条約案から防共へ
  三 日ソ中立条約
 第14章 スターリンの日本像と対日政策(ローシキナ&チェレフコ&シュラートフ)
  一 満州事変直後のソ日関係
  二 スターリンの日本観
  三 学術交流と中東鉄道交渉
  四 国境紛争――張鼓峰とノモンハン

VIII 第二次世界大戦
 第15章A 日ソ関係の展開――対米開戦から日ソ戦争まで(波多野澄雄)
  一 日米開戦と日ソ関係
  二 揺らぐ日ソ関係
  三 最後の日ソ交渉と参戦
  四 日ソ戦争
 第15章B ソ連の満洲進攻と日本人引揚(加藤聖文)
  一 満洲における日ソ戦と関東軍
  二 ソ連軍の満州占領と日本人管理問題
  三 米国の対中国政策と日本人引揚の開始
  四 南樺太・北朝鮮からの日本人送還
 第16章 ヤルタ会談前後のソ米関係と日本(クラフツェヴィチ)
  一 ソ日中立条約と廃棄通告
  二 米のソ連対日参戦工作とヤルタ協定
  三 ローズヴェルトの対ソ譲歩
  四 トルーマンの協定義務違反

IX 終戦と抑留
 第17章 シベリア抑留の実態と帰国後の運動(富田 武)
  一 抑留の重要論点
  二 帰還後の抑留者たち
 第18章 1945年の満洲電撃戦と日本人捕虜(キリチェンコ)
  一 中立条約下の参戦準備
  二 ソ連の満洲電撃戦
  三 日本軍捕虜の生活と労働
  四 戦犯裁判と政治教育

X 講和から国交回復へ
 第19章 領土をめぐる日米ソ関係(一九五一?七〇年)(河野康子・下斗米伸夫)
  一 五五年体制と日ソ国交回復(一九五三?五六年)
  二 米ソ冷戦・高度成長・日ソ関係(一九五七?七〇年)
 第20章 講和からソ日国交回復へ(チュグロフ)
  一 サンフランシスコ平和会議とソ連の立場
  二 ソ日国交回復
  三 日本の国連加盟とロシア外交

XI 冷戦とデタント
 第21章 日ソ関係と「政経不可分」原則(一九六〇?八五年)(小澤治子)
  一 一九六〇年代の日ソ関係
  二 グロムイコ外相の訪日(一九七二年一月)
  三 日中国交回復とソ連
  四 田中首相訪ソと日ソ経済関係
  五 日中平和友好条約締結とソ連
  六 ソ連のアフガニスタン軍事介入と対ソ経済制裁
 第22章 冷戦下ソ日関係のジグザグ(一九六〇?八五年)(クジミンコフ&パヴリャテンコ)
  一 一九六〇年のソ日関係
  二 友好関係確立の道を求めて(一九六〇年代)
  三 一九七〇年から八五年のソ日政治関係
  四 一九七〇年代の経済協力
  五 一九七〇年代の漁業をめぐるソ日関係
  六 一九七〇年代のソ日関係の発展

XII ペレストロイカ
 第23章 ゴルバチョフ登場と「拡大均衡」論(一九八五?九一年)(下斗米伸夫)
  一 ペレストロイカの開始と対日関係の停滞
  二 ゴルバチョフ訪日とソ連崩壊
 第24章 「新思考」路線とソ日関係(一九八五?九一年)(サルキソフ)
  一 ゴルバチョフ登場と訪日要請
  二 拡大均衡論と安倍提案
  三 ソ連外交当局のゴルバチョフ訪日準備
  四 領土問題と経済外交

XIII エリツィン時代
 第25章 東京宣言からイルクーツク声明へ(東郷和彦)
  一 ロシア連邦との最初の交渉(一九九一年一二月?九三年)
  二 交渉のしばしの停滞期(一九九四?九六年)
  三 橋本・エリツィンの時代(一九九七?九九年)
  四 森・プーチンの時代(二〇〇〇年?二〇〇一年四月)
 第26章 ロシア政府の対日外交政策(パノフ)
  一 ロシア連邦の誕生
  二 最初のロ日関係
  三 東京宣言の発出とその役割
  四 領土交渉を中心とするロ日関係の活性化
  五 幅広い分野の活性化

XIV 21世紀
 第27章 日ロ関係の過去十余年(河原地英武)
  一 再出発と迷走(二〇〇一年?〇八年)
  二 関係悪化と一方的行動の応酬(二〇〇九?一一年)
  三 歴史認識の争点化
  四 創造的かつ建設的アプローチの模索
 第28章 ロ日関係発展の可能性(カザコフ&キスタノフ&ストレリツォフ)
  一 政治関係
  二 国際情勢や安全保障面での協力
  三 科学・文化・教育面での協力
  四 貿易経済関係

XV 領土問題
 第29章 北方領土問題とサンフランシスコ体制(原 貴美恵)
  一 ソ連の対日参戦――ヤルタ構想と千島
  二 「未解決問題」へ――サンフランシスコ体制の中の「千島」
  三 日ソ交渉(一九五五?五六年)と日ソ共同宣言以後
 第30章 ロ日間の領土問題――下田条約から今日まで(ストレリツォフ)
  一 領土紛争の史的側面――一七世紀から一九世紀半ばまで
  二 一九世紀半ばから第二次世界大戦開始までの領土画定問題
  三 国際関係でのヤルタ・ポツダム体制に照らした領土画定問題
  四 一九五六年のソ日共同宣言における国境問題
  五 一九六〇?九〇年の二国間関係における領土問題
  六 一九九〇年代の領土問題
  七 二〇〇〇年以降の二国間関係における領土確定問題
  八 現在のロ日関係における領土問題

XVI 相互表象
 第31章 日ロ関係史におけるイメージと表象(小菅信子)
  一 日露戦争に至る日本のロシア観
  二 「日露戦争一〇〇年」のイメージと表象
  三 〈日露戦争=人種戦争〉への懐疑
  四 日露戦争をめぐるさまざまな表象
 第32章 現代ロ日関係史における相互イメージの進化――二国間関係の独立要因として(チュグロフ&ストレリツォフ)
  一 ロシアにおける日本のイメージ
  二 日本におけるロシアのイメージ
  三 歴史記憶の要因
  四 指導者の要因等

あとがき(ストレリツォフ,下斗米伸夫)
跋 『日ロ関係史』刊行によせて(鳩山邦夫)
跋 『ロ日関係史』刊行によせて(ナルイシキン)

日ロ関係史年表(戸部良一)
編者・執筆者一覧

【著者紹介】
五百旗頭 真
五百旗頭真:熊本県立大学理事長/神戸大学名誉教授/元防衛大学校校長
下斗米伸夫:法政大学法学部教授

目次

一八‐一九世紀の遺産―日本型華夷秩序から西洋型国際秩序へ
一八‐一九世紀の露日関係
日ロにおけるナショナリズムと初期相互イメージの共起的生成―同時代二葉亭四迷とチェーホフの言説をてがかりに
世紀転換期ロシアにおける日本のイメージ
日露戦争の時代―衝突から講和まで
世紀転換期のロシアと日本―戦争と講和への道
ポーツマス講和条約後の日露関係―友好と猜疑のあいだで
「例外的に友好な」露日関係(一九〇五‐一六年)
大戦と革命と干渉―在ロシア日本人ディアスポラの視点から
ロシア東部における干渉への日本の参加(一九一七‐二二年)〔ほか〕

著者等紹介

五百旗頭真[イオキベマコト] [Torkunov,Anatolii Vasil’evich]
1943年生まれ。京都大学卒。政治学者として広島大学を経て神戸大学で日本政治外交史を講じる。同大学名誉教授。1998年から日本政治学会理事長、2007年から防衛大学校長、2011年の東日本震災復興構想会議議長。文化功労者。現在、熊本県立大学理事長

下斗米伸夫[シモトマイノブオ] [Strel’tsov,Dmitrii Viktorovich]
1948年生まれ。東京大学卒。比較政治論。文部省派遣でモスクワ留学後、成蹊大学法学部で教鞭をとる。1988年から法政大学法学部。英国のバーミンガム大学、米国ハーヴァード大学等で研究員。朝日新聞客員論説委員、日本国際政治学会理事長、日ロ賢人会議(2004‐06)。バルダイクラブ・メンバー

トルクノフ,アナトリー・ワシリエヴィチ[トルクノフ,アナトリーワシリエヴィチ]
1950年生まれ。政治学博士。ロシア科学アカデミー会員。ソ連の外交官から1992年にモスクワ国際関係大学学長となり、現在に至る。専門は韓国・朝鮮政治

ストレリツォフ,ドミトリー・ヴィクトロヴィチ[ストレリツォフ,ドミトリーヴィクトロヴィチ]
1963年生まれ。歴史学博士。モスクワ国際関係大学東洋学講座長。ロシア日本研究者協会会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

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マーシャ

5
2年かけて読了w。今や悪いのが普通の日ロ関係には、歴史を遡れば、蜜月もあった。第二次大戦後のアジアの政治情勢について、「多くの日本人は、国際政治のリアリズムを直視しようとせず、敗戦後に起きた混乱と悲劇のイメージだけで国際政治を理解しようとした」(本文)。史実を客観的に分析することで、現在のロシアと冷静な関係を築くことは可能であろうし、世界情勢が多極化するなか、米との一蓮托生から抜け出す方法の一つなのではないか。2017/08/21

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超良書2016/07/12

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