出版社内容情報
天・無・理…歴史の原点から,生きられた普遍思想の可能性を展望する思想史のドラマツルギー.〈執筆〉平石直昭,池田知久,溝口雄三,松本史朗,大隅和雄,金容沃.付:文献目録(戦後のアジア論・アジア研究)/総索引
内容説明
歴史の深みから掘りおこす伝統アジアの思想水脈。
目次
序 日本思想史の構想
1 中国古代の天人相関論
2 中国における理気論の成立
3 仏教の批判的考察
4 鎌倉仏教と民衆
5 朝鮮朱子学と近代
6 徳川思想史における天と鬼神
感想・レビュー
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bapaksejahtera
7
松本史朗氏③仏教批判に注目して手に取ったが、他の項目は儒教の天譴論や天人相関論の近代東アジアへの影響が主題。本書の構成に齟齬を感じた。③は釈尊創唱時の仏教を縁起説を基とする虚無主義と主張。他の仏教はアートマン説であって仏説に非ずという論。釈迦自身初転法輪後半世紀近く教団を維持するに至るやその仏説を離れたと推論するのだから論旨一貫の説と言える。但し梵我一如は世界各宗教に共通であると私は信ずる。続く大隅和雄氏④鎌倉仏教と民衆とも噛み合わぬ。金容沃氏の⑤朝鮮朱子学論は、母国の近代思想史批判を含め瞠目すべき論考。2022/05/07