出版社内容情報
「文明の衝突」を超えて――「ヨーロッパ」そして「近代」を宗教文化論という新たな視点から読み解き、問い直す。
国家と宗教がせめぎ合う世俗化の時代,人間の最期をみとったのは聖職者か医師か.「姦通」を罰したのは宗教か民法か.フランス革命以後,宗教が政治との緊密な関係を解かれ,文化へと接近していく過程を,鋭利な作品分析を通して明らかにする.宗教社会学,歴史学,法学との対話から導かれる「近代ヨーロッパ」の批判的考察.
序章 現代の宗教と文化
第I部 ヒロインたちの死生学
第一章 ボヴァリー夫人の最期
第二章 死の宗教性をめぐって
第三章 死とカトリック信仰
第II部 ナポレオン あるいは文化装置としてのネイション
第一章 詩人と皇帝
第二章 皇帝と教皇
第三章 国家と宗教
第四章 民法と家族制度
第五章 文化とネイション
第III部 姦通小説論
第一章 宗教的な大罪 それとも民法の契約違反?
第二章 親密圏のジェンダー論――女子修道会寄宿学校育ちのお嬢さま
第三章 裁きの物語としての『モンテ = クリスト伯爵』
第四章 神聖なる家族制度
第五章 『ボヴァリー夫人』再読――姦通と反復
第IV部 ライシテの時代の宗教文化
第一章 1905年 政教分離法
第二章 『失われた時を求めて』の宗教文化
終章 女たちの声――国民文学の彼方へ
【著者紹介】
工藤 庸子
工藤庸子:東京大学名誉教授
内容説明
国家と宗教がせめぎあう世俗化の時代、人間の最期をみとったのは聖職者か医師か。「姦通」を罰したのは宗教か民法か。政治との緊密な関係を解かれ、宗教が文化へと接近していく過程を鋭利な作品分析を通して描き出す。宗教社会学、歴史学、法学との対話から導かれる「近代ヨーロッパ」の批判的考察。
目次
現代の宗教と文化
第1部 ヒロインたちの死生学(ボヴァリー夫人の最期;死の宗教性をめぐって ほか)
第2部 ナポレオンあるいは文化装置としてのネイション(詩人と皇帝;皇帝と教皇 ほか)
第3部 姦通小説論(宗教的な大罪―それとも民法の契約違反?;親密圏のジェンダー論―女子修道会寄宿学校育ちのお嬢さま ほか)
第4部 ライシテの時代の宗教文化(一九〇五年政教分離法;『失われた時を求めて』の宗教文化)
女たちの声―国民文学の彼方へ
著者等紹介
工藤庸子[クドウヨウコ]
1944年浦和生まれ。1969年東京大学文学部卒業。東京大学大学院総合文化研究科教授(地域文化研究)、放送大学教授をへて現在、東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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