出版社内容情報
原子力テクノロジーの問題を存続論的に問い、世代を超えて築かれる共同世界の可能性を探る。
東日本大震災とりわけ原発事故を目の当たりにして,われわれは何を思考できるのか.書物や建物といった遺された物のなかに,世代を超えて築かれる共同世界の可能性を探り,原子力テクノロジーの問題を人間世界の存続という観点から問う.ハイデガー、アーレントらを手がかりに,現代日本における哲学をひらく力作.
序章 二通りの別離の経験から、もう一つの出来事へ
第I部 いのちから世界へ
第1章 死を超えるもの――「メタ死生学」試論
第2章 読むこと、書くこと、考えること――「メメント・モリ」からの出発
第3章 建てること、住むこと、考えること――Q体(東京女子大学旧体育館)への愛
第4章 自然の力、人間の力――『アンティゴネー』の「人間賛歌」をめぐって
第II部 原子力をめぐる思考
第5章 世界を愛するということ――自然と世界の区別から
第6章 ハイデガーと原子力の問題I――物と総かり立て体制
第7章 ハイデガーと原子力の問題II――もしくは、いかにして原子力で哲学するか
第8章 アーレントと原子力の問題I――大地からの疎外、または「宇宙人」の侵略
第9章 アーレントと原子力の問題II――戦争論への寄与
第10章 火について――プルトニウムをめぐる形而上学随想
第11章 物たちのもとで、人びととともに――自然と世界の絡み合いへ
あとがき 原子力時代の子どもたち
【著者紹介】
森 一郎
森 一郎:東京女子大学現代教養学部教授
内容説明
東日本大震災とりわけ原発事故の戦慄を前にして、われわれは何を考え、どのように語るのか。書物や建物といった、個人の生死を超えて存続する物から、世代をつなぎつつ築かれていく世界への気遣い―「世界への愛」―を学んだ著者が、ハイデガーとアーレントのひらいた自然と技術への問いを受けとめ、原子力テクノロジーの問題を存在論的側面からあぶり出す。現代日本の状況に示される反時代的考察。
目次
二通りの別離の経験から、もう一つの出来事へ
第1部 いのちから世界へ(死を超えるもの―「メタ死生学」試論;読むこと、書くこと、考えること―「メメント・モリ」からの出発;建てること、住むこと、考えること―Q体への愛;自然の力、人間の力―『アンティゴネー』の「人間讃歌」をめぐって)
第2部 原子力をめぐる思考の可能性(世界を愛するということ―自然と世界の区別から;ハイデガーと原子力の問題1―物と総かり立て体制;ハイデガーと原子力の問題2―もしくは、いかにして原子力で哲学するか;アーレントと原子力の問題1―大地からの疎外、または宇宙人の地球侵略;アーレントと原子力の問題2―戦争論への寄与;火について―プルトニウムをめぐる形而上学的随想;物たちのもとで、人びととともに―自然と世界の絡み合いへ)
著者等紹介
森一郎[モリイチロウ]
1962年埼玉県に生まれる。1986年東京大学文学部哲学専修課程卒業。1990年東京大学大学院人文科学研究科哲学専攻博士課程中途退学。現在、東京女子大学現代教養学部人文学科(哲学専攻)教授。著書に『死と誕生―ハイデガー・九鬼周造・アーレント』(東京大学出版会、2008年、第21回和辻哲郎文化賞(学術部門)受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MrO
MrO
葉良沐鳥
Butterfly