内容説明
雪の要害、虎城山地に拠る駒州軍は帝国猟兵二個師団の苛烈な攻勢に前衛陣地崩壊の危機に曝されていた。公用で本営を訪れた新城少佐は病に倒れた軍司令官、義兄保胤から一軍の指揮権を継承する。皇都防衛最後の要で雪原凍土を朱に染める新城の勇戦は皇都に逆巻く将家の陰謀に黒き油を注ぐのだった。
著者等紹介
佐藤大輔[サトウダイスケ]
1964年、石川県生まれ。戦略シミュレーション小説に独自の世界を切り開く
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感想・レビュー
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ぺぱごじら
7
【再読】『戦争は政治判断の一形態であり、外交手段の一手法』を地でいくまさに『政治のための戦局』の巻。駒州軍司令官である義兄の発病を『動物的勘で』活用し、まんまと一軍を掌握した新城。政治・将家・名声などを歯牙にもかけず囚われず、ただ勝利のみを目指して一軍を率いた時、新城の内部に棲む『おぞましきもの』が解き放たれる。2012/02/25
カモメの本棚'10
2
虎城の戦い終了。 しかし、凍った豚だのぶくぶく着膨れだの、酷い言われようの 新城だった(笑)2015/01/31
安藤スミス
1
撤退戦。英雄に必要なのは気概でも智謀でも狂気でもなく、ただ運命だけである。2017/05/03
511
1
1.消化不良。直衛の大局観とその指揮、人心把握は見所ではあるが、やはり戦いから離れた直衛はなにか物足りなさを感じさせる。そしてその直衛から命を受け、同じ部隊を率いた佐伯。両者の対比は鮮やかなまでに残酷だった。2.殲滅戦における命の軽さ、残酷さと絶望感。直衛はあまりに命を等しく見過ぎだ。そう見れるからこそ、最善を尽くせてこれたのだろう。だが末恐ろしさを感じる。P35「死すべしと定めたものに英雄的な死を提供してやる、その丁字美肌性的な快感すら通り越しているかもしれなかった。2016/10/27
ほぅ子
1
主人公大活躍!ですねw自分の部下がいない中で、大きな軍を動かさねばならない不自由さ。にもかかわらず、小心にして狡猾、異常にして有能。襲い来るさまざまな難局と、それを打ち破る主人公に胸が躍りますw主人公をよく思わない人たちの思惑も相変わらず蠢いていて、嫌ぁな予感がひしひしと強まってきました!個人的には義兄上との関係が妙に人間らしくて好きですねvvv2012/11/29