中公文庫<br> バベルの謎―ヤハウィストの冒険

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中公文庫
バベルの謎―ヤハウィストの冒険

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  • サイズ 文庫判/ページ数 437p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784122048409
  • NDC分類 193.211
  • Cコード C1114

出版社内容情報

旧約聖書「創世記」の徹底的な読み直しは大胆きわまりない精神の展開の軌跡を明らかにする。おなじみの物語のラディカルな解読。和辻哲郎文化賞受賞作。

内容説明

これまでの聖書の常識を覆す旧約「創世記」の根本的な読み直し。天地創造からバベルの塔にいたるおなじみの物語の真の姿に迫ることで、一個の大胆極まりない精神の軌跡を明らかにする。和辻哲郎文化賞受賞作。

目次

プロローグ ユニークな絵
おなじみの物語
「律法」とユダヤ教
作者たち
本当の出だし
シュルムの園
罪(?)の物語
無からの創造
神の寵児、カイン
間奏曲
神の絶望とその克服
ジグラトの物語

著者等紹介

長谷川三千子[ハセガワミチコ]
昭和21年(1946)、東京都に生まれる。昭和44年、東京大学文学部哲学科卒業。昭和50年、同大学大学院博士課程修了。埼玉大学教養学部教授。専攻は哲学。『バベルの謎―ヤハウィストの冒険』で、和辻哲郎文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

へくとぱすかる

50
再読。旧約聖書の中の、バベルの塔に関する実際の記述は非常に簡素で、「塔」そのものよりも「ことば」を中心に書かれている。それはなぜなのか。塔の実物など見たこともない、後世のブリューゲルが想像から描いた絵から話が始まり、天地創造~アダムの誕生~楽園追放~カインとアベル~大洪水、と旧約の最初のエピソードを追求していく。そこには、仮に「ヤハウィスト」と呼ばれる紀元前10世紀ごろの記述者が持っていた態度が一貫しているらしい。実際の塔である「ジグラト」は、日本語から想像される姿とは非常にちがった建築であるのが意外。2023/04/18

へくとぱすかる

43
「創世記」を最初に書いた「ヤハウィスト」が見た紀元前十世紀頃には、モデルとなったメソポタミアの建築はすでに廃墟となっていたらしい。塔と同様、土に返っていく運命をもった人間が、なぜ生まれてきたのかを問う思考が、世界の始まりを描く物語に結実していく過程を追う。土から生まれながら、土から離れなければならない矛盾によって、洪水や塔の物語を解く説明が鮮やか。2018/12/31

A.T

20
キリスト教、ユダヤ教の信者でも研究者でもない著者 長谷川三千子さんがバベルの塔の謎を解き明かす。エデンの園、カインとアベルの物語、ノアの箱舟、そして最後のバベルの塔…というユダヤ教の創世記に書かれた有名な一連のストーリーが、長谷川さんの注意深い解読によって紀元前900年とも言われるその当時の中東の世界とユダヤ人の歴史が透けてくる。当時、創世記を書いた人物を仮に「ヤハウィスト」と呼ぶことにして、彼の描いたテーマがその後3000年を経て見事にユダヤ人の運命を予言することになったことに慄然とした。2018/01/08

sk

8
旧約聖書の斬新な解釈を提示する刺激的な論考だが、それゆえ旧約聖書入門にもなる。退屈せずに聖書の知識がある程度身に付く。2018/01/21

トマシーナ

6
表題から、バベルの塔の話だけかと思ったら、旧約聖書の創世記などに記載されている謎や矛盾から、一般に理解されている内容とは違った観点を紹介している。大変中身の濃い著作である。ユダヤ教、キリスト教にとらわれることの無い作者ならではの解説は、かなりの説得力があり、もう一度旧約聖書を読んでみたいという気にさせる。2018/01/21

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