中公文庫
閉ざされた城の中で語る英吉利人

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  • サイズ 文庫判/ページ数 139p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784122043039
  • NDC分類 953
  • Cコード C1197

内容説明

文学的ポルノの傑作としてつとに名高い、匿名のフランス人作家が発表した地下出版物の完全無削除版。閉ざされた城という密閉された実験空間の中で、性の絶対君主が繰り広げる酒池肉林の諸場景を通してエロスの「黒い」本質に迫る。

著者等紹介

生田耕作[イクタコウサク]
1924年京都祇園に生まれる。父は料亭の板前長で南座を遊び場に育つ。軍国色の強まるなか、荷風、その後セリーヌを耽読。京都大学文学部仏文科在学中にブルトンの思想に啓示を受け、以降、批評精神の欠如した日本の文化状況を見極め、ジャーナリズムに背を向け、戦闘的論客としての姿勢を保ち続ける。京都大学教授として大学で教鞭をとる傍らバタイユ、マンディアルグ、セリーヌなどの紹介につとめ、編著書のわいせつか否かをめぐって大学とも決別、自ら出版社を設立して孤高の立場を貫く。1994年没
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感想・レビュー

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ヴェネツィア

60
著者名にはピエール・モリオンとあるが、今ではマンディアルグであることがわかっている。系譜としては、サドの著作や、アポリネールの『一万一千本の鞭』などに連なるフランスの正統派ポルノグラフィーの後裔である。主人公をことさらに英吉利人としたのは、この作品が単なるポルノグラフィーではなく歴史的、政治的な側面を持っていたからだろう。物語はモンサンミッシェルのようなブルターニュの突端に位置する隔絶された島の中で展開する。鶏姦、獣姦が繰り広げられるが、快楽の究極には殺人が位置することになる。極めて破壊衝動に満ちた小説。2013/08/06

syaori

29
再読。「〈闘牛〉の一種のつもりでご覧いただきたい」というこの書物は、「わたし」が世界から隔絶されたガムユーシュ城を訪れるところから始まり、城で繰り広げられる性の饗宴を追って進みます。美しい女たちや屈強な男たちによって高められる高揚は加速し、いつしか快楽は残酷な辱めによって流される血や死によって贖われるものになっていきます。主人公はこの死と隣り合わせの陶酔に耐えられず逃げ出しますが、だからこそ再び帰った日常のなかで城の思い出が、暗い陶酔の果てにいるのだろう「黒い神」が一滴の毒として輝くのだろうと思いました。2016/09/27

駄目男

9
良かったという感想の人には悪いが、これは単なるエロ小説で私としてはそんなに興味あるものではなかった。ここに書くのは躊躇われる事柄の連続で、個人的には濃厚な性描写は好きでない。私にとっては小説の中にそのような事は求めていない。実体験によるセックスと文学作品で読む性行為とは別なのだ。故にこの手のものは好悪趣味の別れるとこだろう。2022/05/20

しろ

7
☆6 まさに文学的ポルノ。人間の本質的エロスがみえたと思う。規則や枷から解放されて理性を失うとこうなってしまうのかも、と想像すると怖い。矛盾に聞こえるかもしれないけど、閉ざされた空間がその解放感を生んだと思う。実際に歴史上、もちろん現代も含めて、こういったことはいたるとこで行われていたはずで、そこに嫌悪だけでなく興味もわく。2010/07/10

めめめ

5
薄い文庫本なのに黒いエロスがこれでもかこれでもかと…。ラストの一文のために書かれたエロティック文学の金字塔。2016/10/24

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