中公新書<br> 昆虫―驚異の微小脳

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中公新書
昆虫―驚異の微小脳

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  • サイズ 新書判/ページ数 291p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121018601
  • NDC分類 486.1
  • Cコード C1245

出版社内容情報

ヒトの脳に比べてなきに等しい昆虫の脳。その微小脳に秘められた驚くべき働きを解き明かす。本能の神秘に迫る現代生物学の成果。

内容説明

ヒトの脳に比べてなきに等しい昆虫の脳。ところが、この一立方ミリメートルにも満たない微小脳に、ヒトの脳に類似した構造が見られることが明らかになってきた。神経行動学は、ファーブルやフリッシュを驚嘆させた「陸の王者」の能力を、精緻な実験によって脳の働きと結びつけ、ダンスによる情報伝達、景色記憶、空間地図形成能力など、昆虫の認知能力の解明に乗り出している。本能行動の神秘に迫る最新生物学の成果。

目次

第1章 昆虫の繁栄を支える小さな脳
第2章 ファーブルから現代まで
第3章 複眼は昆虫の何をものがたるか
第4章 単眼はどんな働きをしているか
第5章 空を飛ぶしくみ
第6章 匂いを感じるしくみ
第7章 キノコ体は景色の記憶に関わる
第8章 匂いの学習と記憶
第9章 ミツバチのダンス
第10章 ハチやアリの帰巣と偏光コンパス
第11章 微小脳と巨大脳

著者等紹介

水波誠[ミズナミマコト]
1957年(昭和32年)、福岡市に生まれる。1980年、九州大学理学部卒業、1982年、九州大学大学院理学研究科修士課程修了、九州大学理学部助手、北海道大学電子科学研究所助教授を経て、東北大学大学院生命科学研究科助教授。理学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

tamami

59
著者自身「はしがき」で、「難しい部分は読み流して」と言っているように、なかなかに手強い新書であるが、業界用専門用語を読み飛ばしても、新知見に富んだ面白い本である。昆虫の行動といえば、ファーブルが強調した「本能」か、フリッシュが発見した「ミツバチの8の字ダンス」を思い浮かべるのが精々であったが、1立方ミリメートルにも満たない「微小脳」に、学習とか記憶とか、ほ乳類にも共通するような機能・能力が備わっていたり、ハチやアリには、帰巣のために一日の時刻がわかり、その時の太陽の位置を覚えている能力があるということなど2022/11/19

那由田 忠

25
蜜蜂が8の字ダンスで餌の方角を示すことは有名だが、ロボットバチを使ってその仕組みが細かく検証されていた。飛んだ距離を下に見える映像で測り、羽音の長さで正確な距離を仲間に伝える。魚が鏡に映る自画像を自分と認知できると知って驚いていたけれど、昆虫の能力と学習力もすごくて、ヒトと昆虫は方向の違う進化を極めた双璧なのである。3つある単眼は明暗を検知して、姿勢を判断し筋肉を的確に動かすような制御回路と直結する。ニューロン数が圧倒的に少なくても、こうしたシンプルな仕組みで高度な生命力を実現しているのだ。感動を覚えた。2022/07/10

Hiroshi

9
セミの目と目の間に3つの点がある。単眼だ。その効用がわかる本。著者は現代生物学の最先端の研究について解説しているので、難しい部分は読み飛ばして良いという。実験の意味を理解してこそ面白いのだから、生物学全般を理解して読む方が良い。以前は生物学というとノックアウト・マウスのことばかりだったが、遺伝子の内容を解明した後は、実験方法として脳の破壊手術、酵素の阻害剤の注入が採られている。昆虫は小さい変温動物であることから、器官に細い針を刺してその針を冷却することでその器官の活動を一時的に抑える方法も採られている。2023/08/10

流石全次郎

7
「したたかな植物たち (ちくま文庫)」多田 多恵子を読んでいたら、植物の繁殖戦略の説明で「訪花昆虫は学習して云々」の一節があって、「昆虫の学習ってなんだよ」と思い、「昆虫 学習」で検索したらこの本が出てきて、本屋に取り寄せををお願いして入手しました。生物学、化学、物理学、地球科学、ありとあらゆる科学を駆使して、昆虫類の「微小脳」の働き、学習、認識、行動などについて、仮説や実証実験などの手法も几帳面に提示されています。理解できたような難しくてわからなかったような。昆虫すごいぜ!という事は理解しました。2019/04/29

山像

7
凄い、何一つとして捨てるところのないおもしろさ。 昆虫の脳は小さいし哺乳類と比べてそこまで複雑な構造があるわけでもない、だがそのサイズの中で驚くべき程に最適化され、高いパフォーマンスを発揮できる器官であるというのが通底するテーマ。昆虫(コオロギ)の匂い学習能力はマウスにもひけを取らない(p.193)とまで言われると流石にどの程度額面通りに受け取ったものか悩むが、まあ「虫なんだから反射で生きてるだけだろ」という多数の人々の考え(だろうと思う)に対するカウンターとしての意味は十分にあるのだろう。2016/05/10

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